大阪万博スペイン館は「黒潮」をテーマに、スペインと日本の歴史的・文化的な交流を表現。没入型展示では海流や再生可能エネルギーなどを紹介しています。
入口はこの段々を登った所にあります。
階段の上に入口がありますが、その手前にステージがありました。
ステージは、主にフラメンコなどの文化パフォーマンスの上演に使われるようですが、訪問時にはモニターでスペインの映像を流していました。
入場すると、青い世界に、地球が浮かび上がっていました。
ひとつの世界
海流は、地球上の生命を維持する循環システムを支えるメカニズムの一つです。
常に動き続け、地球規模のベルトコンベアの役割を果たし、深層流と表層流が互いに結びつきながら、水、熱、栄養を地球全体に運んでいます。
地理的にはとても離れているスペインと日本ですが、地球の健全性を調整するメカニズムによって密接に結ばれているのです。
黒潮が代表するつながりは、スペインにとってメキシコ湾流がもたらす影響と同じであり、両者はともに地球規模の海洋循環の一部を形成する表層海流です。
また、よりゆっくりとした深層流は、地球の熱と栄養の分配に大きな影響を与えています。これらの海流の相互作用によって、海洋の健全性と安定性が保たれ、気候システムや地球上の生命にとって不可欠なものとなっているのです。
救助
1609年、 ガレオン船 「サン・フランシスコ号」が、千葉県御宿沖で難破しました。
この船は、黒潮の流れに沿って航行した「マニラ・ガレオン」として知られる交易路を航行中でした。
村の住民、 特に伝統的な漁師である海女たちのおかげで、乗客と乗組員の大半が救助されました。
使節団
感謝の意を表して、 スペイン国王フェリペ3世は、日本の将軍徳川家康に数多くの贈り物を届けました。
1613年には大名伊達政宗が外交使節団をヌエバ・エスパーニャ (現在のメキシコ)、 スペイン、イタリアに派遣しました。
この使節団は、伊達政宗の家臣である支倉常長に率いられ、日本で建造されたガレオン船 「サン・ファン・バウティスタ号」に乗り、 仙台から出航しました。
慶長遣欧使節は、支倉常長が渡欧した使節です。
スペイン国王フェリペ3世から徳川家康に贈られた日本現存最古の洋時計です。
本物は、静岡の久能山東照宮に祀られていました。
遺産
この使節団は、慶長遣欧使節として知られ、 日本とヨーロッパの最初の外交関係を築くことになりました。
現在、スペインには700人近い人が「日本」を意味するスペイン語 「ハポン」 の姓を名乗り、 その多くが使節団を受け入れた町、 コリア・デル・リオに住んでいます。
彼らは、かつての両文化の出会いの記憶を今日に伝え、 今なお語り合うべきことの多い二国の関係をつなぎ続けています。
水に囲まれて
スペインは海に囲まれた半島に位置し、 海との密接なつながりを保っています。
また、一世紀以上にわたり、 国立公園や生物圏保護区を自然保護地区に指定する取り組みを進めています。
海に面した部分が多く、特に海洋生態系の保護区が重要であることは驚くべきことではありません。
保護政策が目指しているのは、 持続可能な観光と、 固有の美しさと独自性を持つ自然環境の保全の両立です。
地中海に広がる壮大なポシドニア(海草) 草原の静けさ、 大西洋とカンタブリア海沿岸の生物多様性、ジブラルタル海峡の往来のにぎわい、またはカナリア諸島の海底火山活動で形成された生命のオアシスを守ることは、かけがえのない海洋生態系の存続および海洋の健全性を確保するために極めて重要です。
また、 それが地球上の生命の存続を確保します。
息づく技術
海洋は資源の重要な供給源として位置づけられ、用途が広い水産物の海藻は、 今日の持続可能性の課題に対して、重要な役割を果たす可能性があります。
ラス・パルマス・デ・グラン・カナリアにあるスペイン藻類バンク(BEA) は、大きなグローバル海洋保護区を維持する世界でも珍しい場所です。
BEAでは、微細藻類と大型藻類の種を識別、特性を明確にし、 培養試験管で保管していま
す。
これらの藻類は、 独特で魅力的な色を呈し、 産業や科学への応用開発に向けた大きな可能性を秘めています。
BEAにしかない独自の遺伝資源、そしてバイオテクノロジーのプロセスに、食の安全強化、 人間活動による二酸化炭素排出量の削減、 私たちの生活の質を向上させる医薬品の開発と応用への手がかりがあるかもしれません。
スペインも海に囲まれているので、美しい海があるのは分かりますが、今まで、バルセロナのガウディの建造物や南部のアルハンブラ宮殿などの歴史的な建造物の印象が強くあまり気にしていませんでした。
スペインは大航海時代の先駆けとなった国です。
ザビエルもスペインから海を渡ってやって来ました。
そんな海をとても意識した展示でした。