瑞巌寺は、日本三景松島を代表する国宝の禅寺です。
宮城県松島町にある瑞巌寺は、正式名称を「松島青龍山瑞巌円福禅寺」といい、臨済宗妙心寺派に属します。
平安時代の天長5年（828年）、慈覚大師円仁が開創した天台宗延福寺を前身とし、鎌倉時代に臨済宗へ改宗。
戦国期に衰退しましたが、仙台藩主伊達政宗が再興し、慶長14年（1609年）に壮麗な本堂を完成させました。
本堂や庫裡、廊下は国宝に指定され、桃山美術を伝える障壁画や彫刻が見どころです。境内には洞窟遺跡群も残り、歴史と文化を今に伝える東北屈指の名刹です。
松島海岸を通る国道45号には参道入口を示す石碑があります。
慶長14年（1609）、伊達政宗によって建立された一間一戸袖塀つきの薬医門。
平成16年（2004年）に修復工事が行われました。
掲げられている扁額「桑海禅林」は105世天嶺性空の筆。
以前は、鬱蒼とした杉並木がありましたが、2011年の東日本大震災の津波による塩害で瑞巌寺参道の杉並木は甚大な被害を受け、多くの杉が立ち枯れてしまい、伐採されました。
そのため、参道は随分明るくなりました。
瑞巖寺
元禄二年五月九日(一六八九・陽暦六月二十五日)塩釜から舟で松島に着いた芭蕉は、小憩ののち、瑞巌寺に参詣した。
瑞岩(巌)寺に詣、当寺三十二世の昔、真壁の平四郎出家して入唐帰朝の後開山す。
其後に、雲居禅師の徳化にて七堂甍りて、金壁荘厳を輝、仏土成就の大伽藍(藍)とはなれりける。
彼見仏聖の寺はいつくにやとしたはる。
「おくのほそ道」の行文は、簡潔に寺伝を述べ「金壁荘厳」の大伽藍の光景を、印象的に写し出している。
瑞巌寺は九世紀、慈覚大帰を開基とする天台宗の寺院、青竜山延福寺(松島寺)として創建され、十三世紀中葉、改めて法身を開山とし、臨済宗建長寺派)の青竜山円福寺となったと伝えられる。
法身(法心とも)は、常陸国真壁郡の俗名平四郎で、卑賎の身で発情して仏門に入り、入宋して修業し、高僧になったといわれる。
円福寺は、その後妙心寺派となった。
慶長十年(一六八〇五)、伊達政宗は、衰微していた円福寺の再建に着手し、寺号を松島青竜山瑞巌円福禅寺(松島山瑞巌寺とも)と改め、四年をして大伽藍を完成した。
建築は、全体として禅利の風格を保ち、内部に極彩色の彫刻や金碧画の襖などを収め、桃山芸術の粋をつくしている。
本堂・庫裡・回廊は、国宝に指定されている。
雲居は瑞巌寺中興と言われる高僧で、政宗の招請を受け伊達忠宗のとき、同寺九十九世を嗣いだ、芭蕉参禅の仏項のでもある。
瑞巌寺境内の、嘉永四年(一八五一)建立の「松島の文碑」は、芭碑中でも屈指のものであろう。
碑の側面の句中、乙二の句には、「古今をして独り卓然」の子規評がある。
参道の右手には洞窟遺跡群があります。
また遺跡群の中に、碑や石仏なども配置されています。
洞窟内で最も古い供養塔は、寛永13年（1636）、政宗公に殉死した佐藤内膳吉信（法得紹隆禅定門）のものです。
壁の岩石は軽くてやわらかい凝灰岩層です。
松島はかつて、国内有数の天然ウナギの産地でした。鰻塚は100年前の1923年(大正12年)夏、地元を中心に北海道から東京のウナギ業者が資金を出し合い、供養のために建立したとされます。、由来は諸説あり、定かではない。「名物であったウナギの漁獲量が激減したことから供養のために建立した」と記した文献も残るそうです。
鰻塚では毎年5月13日に供養祭があり、参列者はその後、ウナギの生魚を松島湾に放流するそうです。
第二高等学校尚志会端艇部は明治二十八年発足以来、東北の雄として、固定席艇により隅田川に瀬田川に全国を制覇し光輝ある歴史を残した。
昭和と年滑席艇に転じて低迷したが その不振を破るべく決起した二高選手七名、東北大学先輩学生三名は石巻遠漕の帰途、昭和九年十二月二十八日鯨島沖で遭難、全員海底に沈んだ。
その供養塔は今も鯨島にあるこの碑は、その後昭和三十五年東北大学クルーのローマオリンピック出場を機として一艇ありて一人なしの端艇精神を身を以て示した十英霊の遺志を偲び、此処に建立したものである。
今回第二高等学校創立百周年に当り銘を刻し、碑の由来を記した。
昭和六十一年一月二十六日
二高尚志同窓会
東北大学図南会
瑞巌寺洞窟遺跡群
瑞巖寺洞窟群
元来、納骨や供養の為の施設で、 造営は鎌倉時代に遡り、江戸時代まで続いた。
松島は古来 「奥州の高野」と呼ばれ、浄土往生を祈念する神聖な霊場であった。
西国三十三観音巡拝所
西国三十三観音霊場は、三十三に変化し救済する観音の働きに因んで、平安時代中期、花山院が始めたと伝えられている。
和歌山県那智の青岸渡寺を第一番、岐阜県谷汲の華厳寺を結願とする。
後、坂東及び秩父に、また、奥州・宮城・仙台など、各地に霊場が定められた。
松島でも江戸時代後期に設置された。
ここに安置の石像は、昭和九年(一九三四)仙台の名工月田文治翁の手になるもので、仙台・石巻・塩釜の観音講員の寄捨によって境内に安置されていた仏像である。
魚鳥菜塚 碑文
天下の名勝松島の山海の美味 それを支える豊かなる鳥獣魚菜の雪に感謝をこめこの碑を建立す
昭和六十二年九月七日
日本料理研究会
六絳調理師会
発起人 堀 龍雄協价会一同
鉄道殉職者の魂碑
延命地蔵
ブロンズ製。文久3年(1863) 鋳造。
右手に錫杖（しゃくじょう）、左手に宝珠を持ち、蓮台に座し、左足を垂下させる。
延命のいわれは、飢饉時の幼児保護などに勤めた当山117世中方明哉和尚の業績や長命にあやかったと伝えられている。
近隣まれな巨像で、塩釜や石巻の有志によって造営された。
政宗が育んだ“伊達”な文化
瑞巌寺本堂 庫裡及び廊下・ 障壁画
慶長14年(1609年) に伊達政宗によって建立されました。
鎌倉時代にはじまる円福禅寺を再興したもので、外観は質素ですが、 本堂内部の装飾・庫裡の妻飾り・廊下の構成などは絢爛たる” 伊達”な文化の世界を体現しています。
金地濃彩で描く大小161画の襖絵障壁画は、 仙台藩お抱え絵師となった狩野左京、 また長谷川等胤の作です。
本堂は方丈建築で、上々段の間など仙台城大広間との類似性が高く、平成の大改修では、筋違など最先端の技術を用いていたことも明らかになりました。
鎮海・楊柳観音像
粘板岩の巨石(稲井・井内石とも言う)に刻まれた二体の観音像は、右が楊柳、
左が鎮海観音と呼ばれ、いずれも塩釜出身の
小池曲江(1757～1847)の模写になる。鎮海は寛政十二年(一八〇〇)、楊柳は文政六年(一八二三)の建立。
法身窟(ほっしんくつ)
鎌倉時代中期(一三世紀半ば)、諸国行脚中の北条時頼が、後に臨済宗円福寺の開山となる法身性西(法身性才 俗に真壁平四郎)と出会った場所と伝えられている。
正安二年(一三〇〇) 京都嵯峨天龍寺開山の夢窓国師がここを訪れた時、無人の窟内から天台止観を講ずる声が聞こえたという。
窟内には時頼の法名碑 当山中興雲居国師行状碑・三陸海嘯供養碑等が所狭しと納められている。
六地蔵塔青銅製貞享五年
(一六八八)
竿中央部に嵌めこまれた円盤をまわすことによって、地蔵菩薩が六道輪廻する未成佛霊を救済するといわれている。
「後生車」「地蔵車」とも言う。
庫裡 (国宝)
庫裏とも書く。 禅宗寺院の台所のこと。
表側 1378m 、 奥行き23.64m。
いりもやつくり
切妻造本瓦葺（きりづまつくりほんかわらぶき）の屋根上にさらに煙出の入母屋造の小屋組を乗せる。
妻最上奥部の唐草や四段に組む梁を受ける肘木が華肘木となるなど、伊達政宗公の美意識が反映されている。
昭和34年、国宝に指定されました。 当初、玄関内にあった竈は撤去されている。
ここから先は、もらったパンフレットの写真です。
見事な襖絵です。
数年前に来たときは、本堂の改修工事中だったのですが、工事も終わり見どころが沢山ありました。
撮影禁止なのが残念でした。