コロナに揺れたNHK大河「麒麟が来る」も残すところあと3回となり、戦国時代最大のミステリーとなっている「本能寺の変」の描き方が最大の関心事になっています。
さて、終盤に向かって、佐々木蔵之介扮する秀吉が間諜を使って、敵ばかりでなく味方の動向も探り、御屋形様に報告するスパイ組織をコントロールする、かなりいやらしい感じになって来ました。
従来語り継がれた誰にでも好かれる人たらしの秀吉でなく、のし上がるためには仲間の隙をついても前へ出ようとする意志が見え見えです。戦国大名同士であれば生き馬の目を抜くような、こういった駆け引きはあったでしょうが、信長が君臨する織田軍団の中にあって、同じ天下を目指す大名が、軍団内の大名の足を引っ張るような描き方をするのはあまり例がありません。
NHKが本能寺の顛末をどのような結論にもっていくのかの興味は尽きませんが、このエンディングに向けて、関連書籍を読み始めていますので報告方々このブログに掲示してみたいと思います。
目次
本能寺の変 秀吉の陰謀 著者 井上慶雪
著者は茶道の研究家として茶道具を研究しているうちに真相にたどりついたとのことです。
本能寺の変の首謀者を秀吉としています。
信長を安土城からおびき出すために水攻めをしている高松城への援軍を要請し、少数の取り巻きだけになっている本能寺で殺害したというものです。
中国大返しについては、本能寺の変が成功する前から、まるでその死が分かっていたように、講和のために動いていたと推察しています。
その理由として、事変後の光秀の右往左往ぶりが指摘されています。
突然降って湧いたような冤罪だったが故、用意周到な対応ができず調略に富んだ秀吉にまんまと嵌められたというものです。
この説の肝心のところは、もし秀吉の息のかかった軍が信長殺害に関わったのであれば、人の口に戸は立てられないと言いますが、軍勢のうち誰一人として真実を部外者に語ることが無かったとは思えないことです。
本能寺の変431年目の真実
光秀からの遺言-本能寺の変436年後の発見-
明智家の末裔たち-本能寺からはじまった闘いの記憶-
明智家の末裔たち: 本能寺からはじまった闘いの記憶
逆族の末裔と言われ辛い少年時代を過ごした光秀子孫の明智憲三郎氏が、三菱電機での長年のシステムエンジニア経験を生かして、蓋然性の高い展開を見つけていく手法で、従来の史実を覆す新説を唱えています。
上記の三部作では、武田を滅ぼして天下統一を目前にした信長が、武田に対抗するために結んだ家康との同盟が不要になったばかりでなく、新たな脅威として家康を見るようになり「徳川家康暗殺計画」を企てていた。
その家康を暗殺するために、本能寺に家康を呼んで、光秀に殺害させようと計画したのですが、その計画を光秀に乗っ取られ、家康を待ち受けるために、少ない供回りとともに宿泊していた本能寺で、その日の明朝に殺害されたとしています。
光秀の謀反主な理由は以下の2つです。
信長の唐入り計画を知ってしまったことによって、国内平定後も更に戦乱が続くことへの後顧の憂いがあったこと。
四国の長宗我部元親との親交を通しての同盟構想が、信長の四国政策の変更により、長宗我部滅亡の危機に直面したこと。
信長を殺した男〜431年目の真実〜 コミック:藤堂裕
信長を殺した男~本能寺の変 431年目の真実~ 1 (ヤングチャンピオン・コミックス)
明智氏の「本能寺の変431年目の真実」を原案としたコミックです。
第一巻で信長と光秀が出合いますが、そこでの信長は麒麟として描かれています。
信長は「麒麟」を意味する「麟」の字を花押に使っていたとされます。
麒麟は正しい政治が行われている世にしか現れない生物であると中世日本では信じられていました。
新説を打ち出して来る人たちが、本職の歴史家でないところが面白いですね。
新説が出てきてから光秀の評価も随分変わった雰囲気があります。
お城博士ちゃんの栗原響大(ひびき)くんも知略にとんだ光秀ファンを自称していました。
NHKがどんな結末を準備してくれているのかを見て、現時点での光秀の世間の評価を確認しようと思います。