美術館/博物館

青森市文化観光交流施設 ねぶたの家 ワ・ラッセ

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ねぶたの家 「ワ・ラッセ」では、ねぶた祭の歴史や魅力を紹介しています。

愛称を募集し、選考された最優秀作品「ワ・ラッセ」と優秀作品の「ねぶたの家」を合わせ愛称としています。

「ワ・ラッセ」は、ねぶたの掛け声である「ラッセラー」と「笑い」の他に、ねぶた祭での人と人の『輪』や調和の『和』、また、ねぶたを通じ た活動により育まれる市民の『環』をコンセプトとしています。

 

「ワ・ラッセ」外観です。

設計はオランダ出身の建築家フランク・ラ・リヴィエレで、1991年以降、東京に拠点を置いて活動しています。

特徴的な建物を取り巻く幅30cm、高さ12mの鋼板によるリボン状のスクリーンは、ブナの原生林に見られる光と影が織りなす縦のラインをオマージュしたものです。

 

1        2階の「ねぶたミュージアム」

2階がミュージアムのエントランスになります。

中心に立つ外国人風のお姉さんは本物の人みたいですが、実はマネキンです。

 

伝説と想像に彩られたねぶたの起源

ねぶたは、日本の祭りとしては珍しく特定の寺社と結びついた祭礼ではありません。

したがって寺社による「縁起」のたぐいが存在せず、そのため、その起源についてはさまざまな説が伝承され、記録されてきました。

伝説や物語の域を出ないものから、その源流を農山漁村の民俗行事に求めるもの、他都市の祭礼を取り入れたと考えるものなど、いくつかの説がありますが、いずれも決定的な根拠はなく、現在のところ解明されていません。

津軽為信の大灯籠

津軽為信の大灯籠

津軽藩の藩祖・為信が京都にいた頃、お盆に飾る盆灯龍の二間四方の巨大なものを作らせ、都の人々を驚かせた。

この「津軽の大灯籠」は年々有名になり、これがねぶたの起こりとなったとする。

人灯籠の故事自体、為信の時代から二〇〇年も後に書かれた本に記されたもので、史実かどぅかはわかりません。

また仮に事実であっても、大灯能と祭りの始まりを結びつける根拠はなく、これも後年の人々の想像がつくり出した説と考えられています。

坂上田村麻呂の伝説

坂上田村麻呂の伝説

平安時代、蝦夷征伐にやってきた征夷大将軍・坂上田村麻呂が、山奥に隠れた蝦夷たちを大灯籠と笛や太鼓の音色でおびき出し、見事討伐した、それを記念して祭りを行うようになったという説。

起源伝承の中でもっともよく知られるものですが、田村麻呂が青森まで来た史実はなく、後年つくられた物語であることがわかっています。

この説にちなみ、毎年もっとも優れたねぶたを出した運行団体に贈られる賞を「田村麿賞」と呼んでいましたが、現在は「ねぶた大賞」に改められています。

民俗行事「眠り流し」が発展

民俗行事「眠り流し」が発展

全国各地の農山漁村で七夕の日を中心に行われていた「眠り流し」の行事が発展したものとする説。

その始まりを民俗行事に求めた考え方ですが、初期のねぶたが 「七夕祭」や「ねぶた流し」と呼ばれていたこともあり、有力な起源説と考えられています。

「眠り流し」とは、仕事の進行を妨げる「眠気」を追い払う行事で、「ねぶた」は「眠り」がなまった語であるとも言われています。

時代で変化する ねぶたの大きさ

人の肩で担いでいた 明治・大正期

昔のねぶたは人が担ぐ 「担ぎねぶた」でした。

一人で担ぐものから、江戸末期~明治の初めには何十人で担ぐ大型のものも登場しました。

一人で担ぐ担ぎねぶた青森ねぶたより

電化により横長に 昭和20年代

バッテリーを積むためリヤカーや台車に載せて引くようになると、ねぶたはやや大型化し、 形も縦長から構長へと変化していきます。

 

横長型が定着 現在

昭和30年代から、電線やアーチ看板を避け、幅の広い道路に対応した横長のねぶた 「シネマスコープ型」が主流となります。

2        1階の「ねぶたミュージアム・ねぶたホール」

2.1         大日大聖不動明王

密教では、森羅万象この世にあるすべてのものを包容する存在、 仏の最高位を大日如来とした。 その大日如来の化身とされているのが 「大日大聖不動明王」である。

右手には煩悩や迷いを切り払う宝剣を、左手には生きとし生ける者すべてを正しい

けんさく

方向に引き揚げる羂索を持つ。眼を大きく見開き、牙を剥いた憤怒の形相はあらゆる

仏敵を威嚇する。 苦難を乗り越える力を与えてくれる仏であり、願いを達成させる

ばんじゃくざ

慈悲深く尊い存在である。 このねぶたは、盤石座に鎮座する不動明王が念ずる功力

を龍に化身させ、あらゆる困難から果敢に挑む者を守護する場面である。

 

2.2         釈迦降誕

釈迦は、紀元前5~6世紀頃、ルンビニーに生まれた。 父は釈迦族の国王である浄飯王、母は摩耶夫人。 摩耶夫人は出産のために故郷に帰る途中、ルンビニーの花園で、鮮やかに咲き誇る無憂樹の一枝を手折らんとして右手を挙げた時、 出産し

たといわれている。 釈迦は、誕生した直後に立ち上がって7歩歩き、右手で天を、左手で大地を指差したまま「天上天下唯我独尊」と説いた。

これは伝説として語り継がれている有名なエピソードである。

天上天下にただ一人の、 誰とも代わることのできない人間として、この命のままに尊いということである。

この世界にはあらゆる人種が存在し、 残念ながら格差や差別などもある。

現在、世界ではSDGsとして、誰ひとり取り残されることなく、 人種が安定してこの地球で暮らし続けることができるように、世界のさまざまな問題を整理し、解決に向けて具体的に17の目標を示している。 その中のひとつに 『人や国の不平等をなくそう』という目標がある。

それこそが、釈迦の言葉の意味 「全ての人間が平等に尊い」ということではないだろうか。 一人一人が今できることは何なのかを考えて行かなければならないのだろう。

ねぶたは釈迦誕生の場面を表現し、生きとし生けるもの全ての幸せを願う。

 

もっと知りたい。 ねぶたの秘密

  • 台車には 1.3tの発電機が!?

昔はろうそくを使用し、ねぶたに光を入れていたが、現在では800 ~ 1000個の電球や蛍光灯を取り付けています。

この電源になるのが発電機です。

重さは約 1.3t もあり、 ねぶた本体と合わせると約4tにもなります。

  • 4tもの重さがあるねぶた、 どうやって動くの?

簡単に述べますと、人力で台車を引っ張ります。

4tの重さを支える為に、大型車両用のタイヤと車軸が使われています。

総勢 約30名の成人男性が前・後 ・ 横に付き、誘導の指揮をとる扇子持ちの指示に従い、 ねぶたを直進させたり、回転させたりします。

 

 

2.3         牛頭天王(ごずてんのう)

京都・八坂神社で素戔嗚尊(すさのおのみこと)と同体として祀られている牛頭天王。

もともとインドの疫病神であり、武塔神(むとうしん)とも呼ばれた。

『備後国風土記』 逸文によると、 武塔神が旅の途中に訪れた南海で一夜の

宿を請うたところ、裕福な弟の巨旦将来(こたんしょうらい)は拒絶し、貧しい兄の蘇民将来(そみんしょうらい)は快く迎え入れた。

武塔神はその礼として「われはハヤスサノヲの神なり。後の世に疫病流行すれば、 蘇民将来の子孫と言い、 茅の輪を腰につけておれば免れさせる。」 と蘇民将来に告げ、疫病から救ったという。

こうした由緒による祇園信仰は、無病息災を願うものとして庶民の間に広まり、現在も八坂神社の神事である祇園祭の際には 「蘇民將來子孫家門」 の護符や粽が授けられる。

また、 弘前市の金剛山最勝院護摩堂でも牛頭天王が本尊と同等の秘仏として祀られ、疫病除けの御利益があると津軽の人々に信仰されている。

ねぶたは、新型コロナウイルスや戦争といった脅威を封じ込めるが如く、邪鬼と対峙し 「蘇民將來子孫家門」 の護符を人々に与える牛頭天王の姿を表現したものである。

 

2.4         雪山童子(せっせんどうじ)

雪山童子は、お釈迦様が前生で修行をしていたときの名前。

昔々、童子が雪山で修行をしていると、恐ろしい姿をした鬼が不思議な詩を唱えてい

るのを耳にしたのです。空腹であった鬼に、童子を食べることと引き替えに詩の続きを

|唱えてくれるよう頼むと、 鬼は再び詩を唱えました。

童子はこの詩を多くの人に伝えるため岩に刻み込むと、約束通り鬼の口に身を投げ

ました。 すると鬼の姿はたちまち帝釈天という神様に変わり、童子を空中で受け止め地

上に降ろし、いのちをかけた修行をほめたたえたという物語です。

2.5         竹のねぶた -1950年代

竹のねぶた -1950年代 -

Bamboo Structured Float in 50's

ねぶたの変遷 The History of Nebuta float

ねぶた祭では、古くから竹を用いた人形灯籠が作られてきました。 明治時代までは数十人で担ぐ大きな灯籠が作られていましたが、 大正時代には一人や数名で担ぐものになりました。

昭和に入ると、ロウソクに替わり電球が使われるようになり、竹に替わって、 細かな表現が可能な針金が使われるようになりました。

現在の人形灯籠の様式は、 戦後の青森の街並みに合わせて確立されたものです。

 

ねぶたはお祭り当日の夜、市中を練り歩く沢山のねぶたたちを見ると、その美しさと壮大さに圧倒されますが、遠くて簡単に見に来られる訳ではないので、こうして年中観られるところがあるのは嬉しいです。

ここは、市内観光の目玉です。

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