美術館/博物館

福井県立恐竜博物館#2

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福井県立恐竜博物館の第二弾です。

前回のブログ(福井県立恐竜博物館#1)では建物の外側をレポートしましたが、今回はいよいよ室内展示編です。

入口で、あらかじめ購入した日時指定の観覧券をスマホで見せて入場です。

目次

1        本館

玄関から入って地下1階から3階まで吹き抜けの建物の中を地下1階までエスカレータで降りてゆきます。

これだけでもワクワクします。

1.1         ダイノストリート

ダイノストリートと呼ばれる化石通りです。

 

ジュラ紀の魚竜。

オルサカントゥス。淡水性のサメの属で、デボン紀~三畳紀。

両生類の足跡

 

1.2         カマラサウルス産状(さんじょう)化石

ダイノストリートを抜けると、大きなカマラサウルス産状(さんじょう)化石展示です。

産状化石は、個々の骨が地層に埋まっていた状態を保存したものです。

カマラサウルス産状(さんじょう)化石

この標本は、組み上げて展示されているカマラサウルスの全身骨格が発見された当時の産出状況を復元したものです。

頭から尾までほぼ全身の骨格が保存されている非常に貴な標本で、体の右側を下にし、頭部と尾が反り上がった、いわゆる"海老ぞり”の状態になっていることがわかります。

頭部は首から分離して少し移動していますが、それ以外の部位はつながったままであることから、死後に腐って骨がバラバラになる前に土砂に埋もれたと考えられます。

1.3         1階

1階に上がります。

この階は巨大恐竜の骨格展示です。

1.3.1    ティラノ

ティラノサウルスの前あしは小さく、 手の指は2本しかありません。

対照的に後ろあしは長く太く、体重をしっかりと支え、歩くために筋肉が発達しています。

足の指は4本ありますが、 地面についているのは3本で、 内側の1本は小さく、 少し高い位置に付いています。

 

1.3.2    サウロロフス

草食の恐竜です。

 

1.3.3    サウロロフス・アングスティロストリス

前のサウロロフスとは体の形状が異なりますね。

鼻骨が頭の後ろまで伸びた棒状のトサカが特徴的な、サウロロフス亜科に属する恐竜です。アジアと北米で異なる種が発見されており、この標本はモンゴルで発見された種で、北米の種よりも頭骨が少し長いほか、化石に残されたウロコの模様も異なります。

サウロロフスでは様々な成長段階の個体が見つかっていて、 おとなになるにつれてトサカが長くなることがわかっています。

また、1つの地点から同じ種類がまとまって発見されており、集団で生活していたと考えられます。(原標本 : モンゴル国自然史博物館)

 

1.3.4    剣竜類

剣竜類

剣竜類は、草食性で4足歩行の恐竜で、首から背中にかけて板状の骨や細長いトゲが並んでいるのが特徴です。

背中の板状の骨には、体温調整などの役割があったとされています。

このグループは、特に中期から後期ジュラ紀にかけて繁栄しました。

顎には小さな歯があり、頭が低い位置にあることから、背丈の低い植物を食べていたと考えられています。

1.3.5    パキケファロサウルスの一種

分 類: 鳥盤類 周飾頭類 堅頭竜類

時 代 : 後期白亜紀

産地:アメリカ モンタナ州

骨格全長 : 3.1m

白亜紀末に登場した最大の堅頭竜類です。 ドーム状に盛り上がった頭頂部の骨は、厚さが最大で25cmにもなります。

この頭は、 頭突きに使われたとする説がよく知られていますが、 近年は反対意見も多く未だに議論が続いています。

鼻の上や後頭部には、小さなコブやトゲ状の突起がありました。

口先はクチバシ状で、上あごの口先には小さなとがった歯が、 上下のあごの奥には小さな木の葉型の歯が並んでおり、比較的軟らかい植物を食べたと考えられています。

1.3.6    イグアノドン・ベルニサールテンシス

分類:鳥盤類 鳥脚類 イグアノドン類

時 代:前期白亜紀

産地:ベルギー

骨格全長 : 9.3m

ヨーロッパで見つかる恐竜としては最も有名なものの一つで、特にベルギーのベルニサール炭鉱から、多くの全身骨格が発見されました。

全長は10mに達するものもあり、鳥脚類の中では大型の種です。

おとなの前あしは頑丈で、 四足歩行をしていました。

手にある大きな円錐状の親指 (第1指) が特徴です。 口先に歯は

なくクチバシのようなつくりになっており、植物をついばみ、びっしりと並んだ奥歯でよく噛んで食べていました。

(原標本 : ベルギー王立自然科学博物館)

 

1.3.7    カマラサウルス

 

カマラサウルスの一種

分 類:竜盤類 竜脚形類 竜脚類 マクロナリア類

時 代:後期ジュラ紀

産地:アメリカワイオミング州

骨格全長: 15m

北米の最も有名な竜脚類の一つです。

スプーン状の大きな歯、そして竜脚類の中では箱対的に首が短くて頭が大きいことが特徴です。

この全身骨格は、ほとんどすべて実物の骨化石を使用しています。

そのため、変形の激しい腰の骨は、大腿骨からずれています。

カマラサウルス属のうち、どの種なのかを明らかにするため、 研究が進められています。

1.3.8    鳥脚類

草食性で、二足あるいは二足と四足併用の歩行をしていました。

 

1.3.9    ブラキオサウルス・アルティトラクス

 

分 類:竜盤類 竜脚形類 竜脚類 ティタノサウルス形類

時代:後期ジュラ紀

産地:アメリカ コロラド州

骨格全長 : 22m

ジュラ紀の代表的な大型竜脚類です。 「ブラキオ」とはギリシャ語で 「腕」を意味し、 北米で発見された長い上腕骨などをもとにして命名されました。

上腕骨がとても長く、腰よりも肩の位置が高くなっています。

また、胴体が長いという特徴もあります。

背骨の関節から首を高くもち上げていたことがわかり、 頭は約11mの高さに達します。

この恐竜は特に高い木の葉や枝を好んで食べていたと考えられます。

1.3.10 竜脚形

竜脚形類

竜脚形亜目は草食性で四足歩行の恐竜です。

竜脚形類はその多くが食性で4足歩行の恐竜です。

首と尾が長く、全額が30m以上にすることもある史上最大の陸上動物ですが、体の割には頭が小さいことが特置です。

このグループは、主に後期三畳紀から前期ジュラ紀にかけで繁栄した原始的竜脚形類と、中期ジュラ紀以降に出現して巨大化した竜脚類に大きく分けられます。

 

1.3.11 アロサウルス・フラギリス

アロサウルス・フラギリス

分 類竜盤類 獣脚類 テタヌラ類 アロサウルス上科

時代: 後期ジュラ紀

産地:アメリカユタ州

骨格全長 : 9m

ジュラ紀を代表する大型の肉食恐竜で、北米で保存状態の良い化石が多数見つかっており、古くから様々な研究の対象とされてきました。

頭骨では、左右の目の上に角のような突起がある点が特徴的です。

口を大きく開くことができ、 ある程度大きな物も丸のみすることができました。

前あしは比較的大きく、特に巨大なかぎ爪は武器として役立ったと考えられます。

アロサウルスは現在までに3種が知られており、 北米だけでなくヨーロッパにも分布していたことがわかっています。

 

1.3.11        獣脚類

獣脚類

獣脚類は一般的に、 後ろ足が長く、すばやい行動を得意とした2足歩行の恐竜です。

その多くは肉食性で、ノコギリのようなギザギザがあるナイフのような歯をもちます。

一方、中には魚を食べるものなどもいて、歯の形は食べるものにより異なります。

獣脚類は後期三畳紀に出現し、白亜紀の終わりまで繁栄しました。

また、 後期ジュラ紀には獣脚類の中から鳥類が出現しました。

 

1.3.12    地震から逃れられない日本列島

地震から逃れられない日本列島

日本周辺では4枚のプレートが複雑にぶつかり合っています。

そのためプレートの境界部とプレートの内部に強い歪みがたまり、地震が発生しやすい場所になっています。

 

1.3.13    放散虫

 

1.3.14    恐竜発掘のきっかけ

恐竜発掘のきっかけ

1982年、 前田四郎氏 (千葉大学 (当時)) と顧知微氏 (中国南京地質古生物研究所 (当時))らが、 福井県勝山市で二枚貝化石のトリゴニオイデスの調査を行いました。

この時に同行者の一人が見つけた黒く光る化石が、 福井県で初めて発見されたワニ形類の歯化石です。

さらに後日、同じ現場からワニ形類の全身骨格が発見され、 白亜紀の脊椎動物化石が多く見つかる可能性が高い産地であると考えられました。

それが、 現在の恐竜化石発掘現場です。

 

 

(1)    フクイベルナートル

 

(2)    フクイラプトル・キタダニエンシス(複製)

・分類 竜盤目獣脚亜目アロサウルス上科
・時代: 前期白亜紀
・産地: 福井県勝山市北谷町
・地 層: 手取層群赤岩亜層群北谷層
・骨格全長:4.2m

フクイラプトルは、アロサウルス上科に属すると考えられる肉食恐竜です。 大腿骨から全長4.2mと推定されています。

原始的なアロサウルス類としては、中国新疆ウイグル自治区から発掘された、 シンラプトルがいます。

フクイラプトルは、 進化型のアロサウルス類であるメガラプトル類に属しているという説も近年発表されました。

メガラプトル類の特徴は大きな手のや走行に適した長い後ろあしだと考えられています。

 

(3)    フクイサウルス テトリエンシス(複製)

・分類 鳥盤目 鳥脚亜目 イグアノドン類
・時代: 前期白亜紀
・産地: 福井県勝山市北谷町
・地層 手取層群赤岩亜層群北谷層
・骨格全長: 4.7m

1989年から始まった恐竜化石調査で発見された、イグアノドン類に属する草食恐竜です。

比較的保存状態の良い頭骨をもとに、2003年に新しい種類の恐竜として命名されました。

歯の特徴はモンゴルから発見されたアルティリヌスと似ていますが、上顎骨の構造はフクイサウルス特有のものです。

 

1.3.15    中国四川省の恐竜たち

恐竜のジオラマです。

 

1.4         2階

1.4.1    巨大な亀の祖先『アーケロン』

1.4.2    リストロサウルス

1.4.3    シノカンネメイエリア インチアオエンシス

分類:獣弓目ディキノドン亜目カンネメイエリア科

時代: 三畳紀中期

産地:中国山西省

カンネメイエリア類のなかで、最も原始的な種類と考えられています。

頭骨の上部は平らでとても幅広く、 後ろへ曲がった二本の牙を上顎に持っています。

また、 吻部がやや長く伸びていることから、バクのような鼻もあったと考えられています。

1.4.4    クシファクティヌス(シファクティヌスとも称)の一種

分類:硬骨魚類

時代:後期白亜紀

産地: アメリカ カンザス州

クシファクティヌスは最大で全長6mにもなる大型魚類で、 アメリカやカナダ、ヨーロッパ、オーストラリア、ベネズエラなどから化石が見つかっています。

後期白亜紀の世界中の海に生息していましたが、恐竜とともに白亜紀末で絶滅しました。 大きな顎には鋭い歯が並び、他の魚を丸のみにしていました。

 

1.4.5    空の爬虫類

中生代には翼竜が大空を飛び回っていました。

中生代のはじめの頃は、比較的小型で尻尾の長い種類が生きていたのに対して、後期には尻尾は短くなり大型のものが多くなりました。

白亜紀後期の翼竜は、史上最大の空を飛ぶ生物で、翼を広げた時の最大巾が10メートル近くありました。

1.4.6    ティロサウルス

大きすぎて、頭が写らなくなります。

1.4.7    リノティタン モンゴリエンシス

始新世の東アジアは温暖で、低地には湿地が発達し、スギ科の樹木やヤシ類のほか広葉樹が主とする森が広がり、下草にはコモチシダなどのシダ類が茂っていました。

その森の中で、 陸上哺乳類は多様化し、コリフォドンやプロディノケラス、トロゴサスなどの多種多様な草食獣が暮らしていました。

 

1.4.8    パキケタスアトッキ

分類:鯨目パキケタス科

時代:古第三紀前期始新世

複製

産地:パキスタン

地層クルダナ層

約5000万年前に生きていた最古のクジラ。 完全な四肢を持っていて、骨の構造から、生活の大半を水中で過ごしていたと考えられています。

耳の骨にはクジラにだけみられる特徴があり、足首の骨のつくりから、 偶蹄類との類縁が深いとされています。

鯨類進化のシナリオ

今からおよそ5000万年前、 クジラの祖先は4本の足で陸を歩いていました。

それから1000万年ほどで、後ろ足が小さくなり、尾びれも発達するなど、体型が現在のクジラに近くなった仲間が登場します。

体つきの変化は泳ぎが上手になったことを意味し、 祖先の地から世界の海に分布を広げました。

それらはひとまとめに原始クジラ (ムカシクジラ)類と呼ばれます。

原始クジラ類はやがて現代型クジラ、すなわちハクジラとヒゲクジラに王の座を明け渡しますが、その背景には大陸移動に伴う海洋環境の変動があったようです。

 

 

1.4.9   ドルドン

ギザギザの奥歯や鼻の穴の位置、小さい後ろ足などの原始的な特徴は現在のクジラとは似ても似つきませんが、 現在のハクジラとヒゲクジラの祖先グループと考えられています。

中新世の前期~中期は一時的に温暖な気候下に置かれ、常緑のブナ科などの照葉樹林が針葉樹と落葉広葉樹の森に混じって広がっていました。

特にこの時代は、フウとコンプトニアが多く生い茂り、 プラティベロドンなどの長鼻類やパレオメリックスなどの偶蹄類が多様化しました。

 

1.4.10    デイノテリウム

絶滅したゾウの属です。

海に戻った哺乳類たち

新生代にはクジラ・アシカなど、様々な哺乳類が海に戻ってゆきました。

海の哺乳類たちはお互い同士よりも、クジラは偶蹄類(ぐうているい)に、海牛はゾウに、鰭脚類(ききゃくるい)(アシカ、アザラシなど)はイヌやネコなどの食肉類に近いのです。

 

 

1.4.10 パレオパラドキシア

パレオパラドキシアと当時の日本の環境

一見カバに似たこの動物は、歯を見るとカバとは全く関係のない仲間だということがわかります。

ゾウやカイギュウ類に近い仲間で海岸に棲み、 主に海草を食べていたと考えられています。 植物や貝の化石から、 当時の日本は亜熱帯性の気候であったと考えられていますが、パラオパラドキシアはそのような環境にすんでいた動物なのです。

パレオパラドキシアについては「瑞浪市化石博物館」でも報告しています。

1.4.11 マンモス

1.4.12 ギガンテウスオオツノジカ

マンモスや毛サイと並んで氷期を代表する動物。

絶滅した大きな獲物たち

大氷河の時代には、大型化した陸上の哺乳類が数多くいました。

しかし、最終氷期から温暖化する、 約1万年前までに、ほとんどの大型哺乳類が急速に絶滅してゆきます。

これは急激に温暖化した環境変化と、発達した道具で動物を狩り続けた人類の繁栄が関係していると考えられています。

 

1.4.13 ロトサウルス アテンタス

非常に特殊化した三畳紀の主竜類で、上下の顎に歯はなく、尖ったくちばしのようなものを持っています。

また、脊椎の棘突起は上に長く伸び、背中に「帆」のようなものがありました。

 

1.4.14 ヒトへの進化の道

鮮新世や更新世の地層からは、さまざまな人類の化石が発見されています。

初期の人類には頑丈な顎や頭を持つものもいました。

また、 異なる種類の人類が、 同じ時代に生きていたこともありました。

ほとんどの人類の種は絶滅し、現在は私たち(ホモサピエンス)だけが生き残りました。

 

2        新館

2.1         収納庫

2.2         シンボルモニュメント

1Fの映像ルームで恐竜の映像を鑑賞できます。

2.3         ダイノラボ

ティラノザウルスを中心に、恐竜の体や暮らしのことが学べる展示室です。

2.3.1    マイアサウラの成長

マイアサウラの体重は孵化直後には2kg程度でしたが、生後1年で約380kgに、性成熟をむかえる3歳頃には約1600kgにまで達したことが、骨に残された成長の痕跡を観察した結果わかっています。

マイアサウラは成長の早い段階で急激に体が大きくなったようです。

2.3.2    恐竜の筋肉

2.3.3    ティラノ全身骨格

 

立体視

ティラノサウルスの頭骨は、上から見ると後ろの方で広がるTの字のような形状をしており、 その広がる部分に眼窩(目の入る穴)があるため、目が正面を向いています。

さらに、少し鼻先を下げた姿勢をとることで、 正面の視野をさえぎるものがなくなります。 私たち人間もそうですが、両眼の視野が重なる領域では、奥行き感覚を得ることができます。これによりティラノサウルスは、獲物などの対象物との距離をある程度正確に知ることができました。

見どころ満載の博物館でした。

外観などは 福井県立恐竜博物館#1 で。

 

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