ねんねするだけだった赤ちゃんが、ハイハイして、つかまり立ちして、あんよして、成長の早さに驚かされます。いろんなことが出来るようになって 嬉しい反面ヒヤリとすることも多くなってきます。
さまざまなものに興味津々の赤ちゃんには、家の中は危険がいっぱいです。乳幼児にとって 病気よりも多い救急搬送は家の中での事故なのです。
大人が気をつけていれば防ぐことが出来る家の中での事故。危険な個所を知って、事故防止の対策をしましょう。
平成30年版 消防白書参照
【年齢区分】1乳幼児:生後28日未満の者 2乳幼児:生後28日以上満7歳未満の者 3少年:満7歳以上18歳未満の者 4成人:満18歳以上65歳未満の者 5高齢者 満65歳以上の者
目次
1 子どもの目線を知ろう
1-1 子どもの見えるものは大人とは違う
赤ちゃんの目は生後数週間から両方の目を使って、物を見ることを学習しはじめます。目の機能は視力や視野、色覚など体の成長と共に発達していきます。
【視力】
生まれた頃0.1以下だった視力は、徐々に物が立体的に見えてきて、生後6か月頃には 輪郭・人の表情の違いが分かるようになってきます。
1歳頃になるとより小さなものが見えるようになり、0.2~3くらいの視力になります。たっちができるようになると視界が広くなり、2歳頃には0.4~0.6の視力で、丸や四角など形の区別がつきます。
3歳頃には0.6~0.8程の視力で、中には1.0の目が良い子もいます。
【色覚】
お腹にいる時から明暗が分かっている赤ちゃん。生まれてすぐは、明るさを感じる「白・グレー・黒」の違いがわかります。生後10~12週になると、はじめての色 「赤」を認識します。
その後 「黄」「緑」の区別がつくようになり、3ヶ月頃には「赤」と「黄」の区別、そしてだいたい4か月頃になると 大人と同じくらいの色の区別がつくようになります。
【視野】
0歳児の赤ちゃんは見ているものを 情報として脳が認識する「見る力」が育ってから、動くものを目で追って、2次元、3次元の立体感の認識する力が育ちます。
赤ちゃんが自分の手を顔の前に持ってきて 動かしたりなめたりしている姿 ありますよね。最初は(なんだろう???)と自分の体の一部でも 分からずに見ているようです。
「ハンドリガード」(Hand-regard)と呼ばれていて、生後3~4ヶ月頃からよく見られる行動です。
元気に走り回る幼稚園・保育園の子どもたちの視野でさえもおとなの範囲まで成長していません。
この図で分かるように、思ったより見えている範囲が狭いです。ちょっと何かに気を取られて、そちらに視線が行くと足元が見えていなかったり、横を通る人にもぶつかります。
だから「ちゃんと 前見て歩きなさ~い」と大きな声で叫んでいるお母さんいますが、でこぼこした道だったり、交差点などで横から人や車が出てくる状況の時は手をつなぐなど注意が必要なんです。
*こどもの視野の体験ができる「チャイルドビジョン」(幼児視界体験メガネ)は厚紙で作れます。いろんなサイトからダウンロードできるので、経験してみてはいかがでしょうか。
・東京都福祉保健局 東京都版チャイルドビジョン https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/shussan/nyuyoji/child_vision.html
・NPO法人 CAPセンター JAPAN http://cap-j.net/save-child/view/childvision
1-2 好奇心が旺盛で つい手を伸ばしてしまうのがこども
こどもの見えているものを理解した上で、ご自分のお子さんの成長具合を考えながら家の中を見渡すと、危険な個所がわかってきます。
とくに 赤ちゃんは好奇心が旺盛です。そして成長が早い。「昨日までできなかったことが 急に今日できる」なんてことがよくあります。
つかまり立ちして目線が高くなると 見えてくるものがより増えて あれもこれも触りたくて手を伸ばします。そして おとなの行動をよく見て、覚えていきます。
【子供が興味を持つ】
・動くもの ・出す、落とす、引っ張れるなど自分が手を出すと変化があるもの ・つまめるもの(とくに おすわりやハイハイの頃の赤ちゃん) ・水
・音の出るもの、光るもの ・おとながよく触っているもの(スマホ・鍵・財布など) ・高さがあって乗れる(登れる)もの ・箱の中、家具のスキマなどの狭いところ
こどもは身の回りのすべてを 興味津々でみて・さわりたいと思っているということですね。
この好奇心が、(どうしてかな)(なんでだろう)という探求心を育てて、積極的に自分から学んでいく土台になっていくのです。
子供の成長を見守りながらも、安全な環境を整えて、危険を防ぐのがおとなの役目。さぁ 家の中の危険個所を探してみましょう。
2 リビングの危ない場所
リビングダイニングの家庭も多いと思いますが、今回は居間(リビング)からみていきましょう。
2-1 テレビなどの電化製品まわり
・テレビにつかまって、テレビ台に登ろうとして倒す。ケーブルを引っ張る。←テレビ台に登らないように、家具配置の工夫。転倒防止のグッズ使用、ケーブルは束ねて目につかないようにする。
・コンセントを抜いたり差したり。コンセントの穴にヘアピンやペンを入れようとする。←たこ足配線は極力やめて、目のつかない場所に。コンセントカバーをつける。
ELPA 安全コンセントキャップ ホワイト AN-101B(W)
・オーディオのインジケーターや、ライトが気になって触る。←コンポやDVDデッキな手の届かないところに置くか、見えないように工夫する。
・エアコン・テレビなどリモコンを押す。ごみ箱に捨てる。←手の届かない 定位置に置きましょう。
2-2 ソファー・机の上・窓辺など
・ソファーに乗ったと思ったら 背もたれによじ登って落ちる。←まずは 高いところに登ったらおろすようにする。壁際につけるなど配置を工夫する。クッションマットを敷く。
・大人の飲んでいたアルコールの空き缶の飲み口に指を入れて手を切る、飲み残しがあって飲んでしまう。←からの缶などで遊ばせない。手の届くところにアルコール・熱いものは置かないようにする。
・お菓子と間違えて、薬(錠剤・カプセル)を飲んでしまう。←絶対に子供の手の届く場所に置かない。落としたものはすぐに拾う。
・ブラインドのひも、手に届くところにかけてあるバッグのひもなどに首が引っかかる。←ひも類は、短くしばるか、手の届かないところに置くことを心がけましょう。こどもの可愛いポシェットも気をつけてください。
・じゅうたんや床に置いてあったビニール袋、紙などで転倒。床や机に頭をぶつける。←足を引っかけやすいものは片付けましょう。こたつの布団に引っかかって転ぶ事例もあります。
・引き出しで指を挟む。中に入っていたペンや電池を口に入れたりする。←危険と感じるものは、高い位置にしまいましょう。引き出しのストッパーも有効です。
今回は、こどもの目線を考えて、リビングの危険個所を考えてみました。各家庭によってリビングの広さや設備、家族の趣味など家にある物が違います。子供の成長によっても危険度合いが変わってきます。
家は家族が安心してくつろげる場所です。家族の一員である子どものことも考えて、環境を整えていきましょう。
また、物を増やす・買い換える時は、子どもの目線に立って危なくないように 置き場所や使い方を考えてから購入しましょう。
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「赤ちゃんのいる生活 ヒヤリ・ハッとしないために 危険を知って対策しよう②」~キッチン~