博覧強記 電子回路

車両の自動運転に必要なセンサの機能と役割を最新のレジェンドから解析

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2021年3月4日に発表され、5日から100台限定のリース販売される本田技研工業の新型「レジェンド」は、世界初のレベル3の自動運転走行機能を実現しています。

前回、自動運転レベル3を実現したホンダの新型「レジェンド」と、自動運転の技術基準

について書きましたが、今回は、

このホンダ「レジェンド」を例に取って自動運転に必要なセンサの機能と役割を確認したいと思います。

2020年11月11日に国土交通省広報が発表したホンダの型式申請の資料の一部が以下です。

現在の技術では、1種類のセンサで車周辺の状況を全て把握することができないので、複数種類のセンサを複数使ってレベル3の自動運転を実現しています。

外界認識として搭載されたセンサは以下です。

カメラ:室内のバックミラー近傍に2ヶ所

レーダー:前方3ヶ所、後方2ヶ所

ライダー:先方に2ヶ所、後方に3ヶ所

1        ライダー・LiDAR(Light Detection and Ranging)

自動運転では、かなり重要な部品です。ライダーは1μm程度の近赤外線レーザー光を用いて物体の検知と物体までの距離を測定します。

日本自動車工業会の資料では「レーザーレンジファインダ」と記載されていました。

測定する物体を「三次元点群情報」として測定できるので、周辺にある物体までの正確な距離やその物体の形状を細かく知ることができます。

ライダーがあるとビルやタワー、橋梁と言ったランドマークまでの正確な距離を走行しながら取得できるので、自分が地図のどこにいるのか正確な位置を判定できます。可視光線に近く天気が悪いと認識率が下がります。

ホンダのライダーは前に2ヶ所、後に3ヶ所で、周囲360°の物体の位置情報を取得しています。

下の写真は2021年2月に埼玉工業大学が深谷観光バスの車両を使って深谷市で実施している自動運転バスが交差点にさしかかった時のモニタ画面です。

周辺の建物の画像や、対向車、交差点を横切る車の映像がモニタされていました。

運転手さんがびくびくしながらハンドルに手を添えているのが印象的でした。

LiDARの最大のデメリットはコストが高いことです。

そのためテスラの用にカメラや他のセンサーを組み合わせて代替できないか模索する会社もあります。

その一方で、米のLuminarのように、廉価なLiDARの製品化に成功した企業も登場しています。

LiDARの価格が下がれば自動運転車だけでなく、運転支援のためのセンサーとして搭載する車両が一気に増える可能性があります。

2        カメラ

歩行者、自転車、信号、車線等を見つけます。人の目と同じなので雨天や霧が発生していると認識率が下がります。

ホンダ車には2ヶ所設置されていますが、通常使用するのは1基で、残りの1つは、故障した時のバックアップとのことです。

 

3        レーダー

4隅に配置されたレーターは近距離用のもので、前後の障害物を検知するためのものと思われます。前方中央のレーダーは前の車との車間を計測するためのものと思われます。

このレーダーの波長は1mmから10mmでミリ波レーダとも呼ばれます。

周波数帯は30GHz~300GHzで、ライダーに使用しているレーザーよりも長い波長です。

ホンダのサイトによると金属物の検知と測距に優れる、ミリ波電波を活用するレーダーセンサーと記載されています。

主に、車やバイク等反射率の高い金属が対象です。

 

4        ソナーセンサー

図示はされていませんが、Web情報では12個のソナーセンサーがあります。

縦列駐車やバックのときなど、パーキングで自車周辺の障害物を検知し、ドライバーに通知するために設置されています。

以下に参考のため日本自動車工業会の説明図を添付します。

さて、今回はホンダの車両について記載しましたが、アウディはもとより、テスラも既にレベル3以上の自動運転の開発を終えていると言われています。

トヨタ、日産も含め、今後どのような車両が登場してくるのか楽しみです。

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