花巻は宮沢賢治の生まれ故郷です。今は東北新幹線で、東京からは3時間程度で「新花巻」駅まで、あっと言う間に行けますが、新幹線の無いころは東北本線で10時間もかかったそうです。
この中央から離れた岩手の地にイーハトーブという楽園を造ろうとした宮沢賢治と、賢治を育んだ環境を確かめるべく行って来ました、花巻へ。
目次
1 「どんぐりとやまねこ号」
花巻温泉にゆっくり浸かりつつの観光計画ですが、観光ガイドを見ていたら「どんぐりとやまねこ号」という小型のバスで市内の一日観光をやっていると書いてあったので、事前に予約をしておきました。
7人乗りのイギリス製の小型のレトロバスで、現在「Wildcat House号」と「Campanella号」の2台が稼働しています。
約束の時間少し前にホテルのロビーに降りてゆくと「Campanella号」がお迎えに来ていました。
驚いたことに、その日は終日、我々夫婦2人だとのことです。
と、いう訳で運転手さんと3人で1日 目一杯市内観光を楽しみました。
こちらが、「Wildcat House号」
こちらが、「Campanella号」
2 宮沢賢治の生家
通りすがりにちょっと停車してもらいました。
花巻の街の中心にあります。
生家は終戦の年、昭和20年の8月には空襲で焼けたはずなので、質屋をやっていたころの宮沢家ではありません。
3 宮沢賢治童話村
入口は鉄道の駅を模して銀河ステーションです。
賢治の童話「やまなし」の一節です。
1923年(大正12年)4月8日 岩手毎日に掲載された賢治の初とも言える一般の出版物での記念すべき公開作品です。
梨の形が洋梨に似ていますが、実際の、球に近い山梨のオブジェだと、梨かリンゴか分からないので敢えてこの形にしたのではないかと思います。
第23回(2013年)宮沢賢治賞を受賞した冨田勲が寄付した副賞を原資として作成された天使のモニュメントです。
童話「月夜のでんしんばしら」を再現したモニュメントです。
オノマトペで始まる典型的な賢治スタイルの童話です。
賢治の学校
賢治の学校に向かいます。
「賢治の学校」の中の「ファンタジックホール」にある銀河をあしらった木です。
電信柱も描かれ、賢治の童話の世界を象徴するオブジェです。
「注文の多い料理店」のジオラマです。
「セロ弾きのゴーシュ」のセロ(チェロ)です。
賢治自身も実際にチェロを弾いていました。
「風の又三郎」のジオラマです。
賢治の教室
5棟のログハウスがあり、それぞれ童話に登場する植物、動物、星、鳥、石について楽しく学べる場所です。
星の教室はガラスで作った銀河の展示があります。
動物の教室です。
植物の教室です。
駐車場にあった、「さわやかトイレ」です。
中央には「ファンタジックホール」にあった木が。
駐車場の近くには銀河鉄道の遊具があります。
4 宮沢賢治記念館
童話村のすぐ近くにあります。
たまたま、前々日11/27の「クイズ あなたは小学5年生より賢いの?」で「3枚の写真から推測して誰の記念館か答えなさい」との出題があり、この建物の写真が放送されていました。
TVで見た感じでは小さな感じの記念館だったので、あまり期待はしていませんでしたが、いい意味で期待を裏切られました。
実物は中が随分広い建物で、建物が建っている岡の上からの眺望も素晴らしいものでした。
お釈迦様と百合の花の説話を書いた『四又の百合』の筋書きとそのアニメーション、
有名な作品と、その作品のヒントとなった題材、
農業高校での活動の展示等が展示されていました。
愛用のチェロや自筆原稿の展示もあります。
記念館の入口にある「よだかの星」のオブジェです。
5 注文の多い料理店「山猫軒」
昼食は記念館近くの注文の多い料理店・山猫軒です。
注文した食事はこんな感じです。
すいとんと焼きおにぎりの「山猫すいとんセット」です。
6 新渡戸記念館
展示室が2つあり、1つは新渡戸一族、もう1つが新渡戸稲造の展示です。
新渡戸稲造の「武士道」は読みましたが、「名誉を重じ、恥を忌避する大和魂は武士道が規範となった」ということが書いてありました。
誰が言ったか分かりませんが、よく言われる「武士道とは死ぬことなり」とは書いてありません。
そもそもこの本はアメリカ人向けに英語で書かれたものた最初でので、そんな訳の分からない事は書くはずはないですよね。
7 宮沢賢治イーハトーブ館
ここは映像中心の設備です。13:30から40分あまりで、「どんぐりとやまねこ」と「注文の多い料理店」の映像を見て来ました。
8 早池峰と賢治の展示室
ここは花巻市内から車で30分の北東の大迫地区にあります。
盛岡高等農林学校の研究生のころ、調査のために何度も訪れています。
さらに東には標高1917mの早池峰山(はやちねさん)がありますが、そこにも何回か登山しています。
石の標本です。
子供の頃、宮沢賢治は「石っこ賢さん」と呼ばれるくらい石好きで、河原へ行っては様々な石を収集していました。
石好きの賢治を作った花巻に地質的な特異性については、「ブラタモリ」で、詳しく説明されていたので、この放送をベースに別途ブログを作成します。
展示室の入り口では、猫の事務長さんがお出迎えしてくれます。
当日はここの本当の館長さんは不在でしたが、山猫にそっくり(本当ですか?) とのことでした。
貴重な初版本の展示です。
「春の修羅」は1924年(大正13年)4月に賢治が自費で花巻で印刷し、東京の関根書店に送って出版したものです。
印刷部数は1000部でした。
文壇の評判は良かったのですが、100冊程度しか売れませんでした。
関根書店が古本屋に流したため、定価2円40銭の本は本郷の古本屋で50銭で売られていたとのことです。
今では中古市場で150万するそうです。
「注文の多い料理店」は「春の修羅」から8か月後の1924年(大正13年)12月の出版です。
こちらも1000部が自費出版同然に出版されましたが、全く売れませんでした。
こちらの中古市場はどうでしょか、「春の修羅」以上の高額が予想されます。
この2冊が賢治の生前に出版された本です。
9 エーデルワイン
最後はワイナリーです。
新型コロナウイルス感染症予防のため、無料試飲はやっておらず、有料試飲を楽しんできました。
10 「どんぐりとやまねこ号」の運転手さん
最後に、やっぱり運転手さんのことを書かない訳にはいきません。
とにかく楽しい運転手さんでした。
毎年花巻で行われる『雨ニモマケズ』朗読大会に5回連続出場し、3回1位を取り、5回目に大賞を取って卒業したとのことで、車内で朗読を聞かせてもらいました。
自分なりのアレンジをして朗読するのだそうです。
ネットで調べたら確かに出ていました。
https://kihiroba.exblog.jp/22396315/
【披露頂いた歌】
・北方夜曲 和田弘とマヒナスターズ
・智恵子抄 コロンビア・ローズ
・嫁に来ないで 「嫁に来ないか」の替え歌
・あなたの入れ歯 「東京砂漠」の替え歌
・はなみず 「ハナミズキ」の替え歌
・おじいさん・おばあさん「男の子・女の子」の替え歌
・履いておじさん 「ハイさおじさん」の替え歌
・南部クルミ餅 福田こうへいの「南部蝉しぐれ」の替え歌
そんな訳で、観光スポット間の移動も飽きずに楽しく過ごすことができました。
運転手さんありがとうございました。
花巻関連のブログは以下です。