博覧強記

一切なりゆき ~樹木希林のことば~ (文春新書) を読んで

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3年前 河瀨直美監督 映画「あん」を観ました。

人気の無いどら焼き屋に 美味しい「あん作り」をする樹木希林さんがバイトで雇われる。

とても楽しそうに 生き生きとあん作りをしていく主人公の希林さん。

映画は楽しくておかしくて、でも とても悲しくて・・・涙あふれるいい映画でした。

 

上映のあとに、[原作のドリアン助川さんと樹木希林さんのゲストトーク]を聞きました。

全身がんと公表していた樹木希林さんでしたが、飄々とした雰囲気でスタスタと登場して、ズバズバと好きなことを語っていました。

「私 マネージャーとかいないし、この服も自前で、自分で直しながら もう20年近く着てるのよ。」とざっくりしたワンピースで、とても素敵だったのを覚えています。

 

樹木希林さんがトークショーや雑誌・対談で話した言葉はとても 素直で、面白くて、たくさんの本になっています。

50代を過ぎたシニア世代の女子(あえて ジョシ)に、樹木希林さんが語った言葉は、年を重ねていく自分の受け入れ方を教えてくれます。

今回は数ある本の中から 発売3ヶ月で累計100万部のベストセラー

「一切なりゆき 樹木希林のことば」 文春新書 をご紹介します。

 

1. 樹木希林さん プロフィール

樹木希林(1943―2018) 1月15日生まれ

・千代田女学院を卒業 大学受験直前にスキーで足を骨折し、進学は断念。一番試験日の早かった文学座の試験を受ける。文学座1期生。

その時の芸名は 「悠木千帆」(ゆうきちほ) 女優 杉村春子の付け人をしながら文学座の正劇団員となるが、退団後テレビの世界へ。

・1970年 水曜劇場「時間ですよ」のレギュラーになり、20代ながら老け役をやり好演。その後「寺内貫太郎一家」でぶっ飛んだおばぁちゃん役で人気を不動にする。

オークション番組で芸名「悠木千帆」を¥2,200で売る。

「内田啓子」を芸名にしようとしたが、夫 内田裕也に反対され、悩んだ末 樹木希林に決まる。

「ムー」「ムー一族」では、家政婦さんの役で、郷ひろみと歌を歌い、「お化けのロック」「林檎殺人事件」が大ヒットする。

テレビ作品は多数出演。大河ドラマ「翔ぶが如く」「葵 徳川三代」 NHK連続テレビ小説「はね駒」「君の名は」など。

映画出演も多数。(とても多いので 自分が観た作品を挙げます。)

「三匹の狸」「男はつらいよ フーテンの寅」「金田一耕助の冒険」「帰ってきた若大将」「野菊の墓」「転校生」「天城越え」

「さびしんぼう」「REX 恐竜物語り」「半落ち」「東京タワー~オカンとボクと、時々、オトン」「歩いても 歩いても」「悪人」

「ゴーズト もう一度抱きしめたい」「ツナグ」「そして父になる」「あん」「海街diary」「海よりもまだ深く」「万引き家族」「日々是好日」

けっこう観てますが、まだまだ 観たい作品たくさんあります。晩年の老女の役は、本当に自然で ステキです。

・CM 「ピップエレキバン」「富士フィルム」「リクルート ゼクシー」などなど。

こうして列挙しているだけ、すごい女優さんであることは間違いないですね。そして 生涯現役の女優さんです。

2.  樹木希林の私生活

・最初の結婚は1964年のようです。内田裕也さんとは再婚。ひとり娘の也哉子さんは、本木雅弘さんと結婚。

本木さんは内田家の婿養子になって、2世帯住宅。2012年より孫の進学先ロンドンに也哉子さん一家は住んでいる。

・2003年に網膜剥離で左目を失明。2004年 乳がんのため、右乳房を全摘手術。

・2013年 アカデミー賞の主演女優賞の受賞スピーチで、癌が全身に転移してることを発表。

もともと「自分はケチだから」と物をあまり買わず、リメイクしながら洋服など長く来ていたようだが、ガンを患ってから とくに身辺を片付けだし、贈答も断っていた。

なにかの授賞式で、本木さんの服をリメイクした物 着てましたよね。「私の方が似合うから ちょうだい」って。

3.  「一切なりゆき~樹木希林のことば~」の本について

この本は、6章からなっていて、

・生きること ・家族 ・病い、からだ ・仕事 ・男女 ・作品 について語られたことがまとめられています。

樹木希林さんの波乱万丈、激しく生きて戦い抜いた末に得た 飾ることないまっすぐな言葉が、読む人の心に刺さります。

だんだんいい年になってくると、自分の経験もそこそこ積み重ね、今までの足跡を振り返ったり、残りの人生について考えることがあります。

そんな時 本を読んで、人の言葉や生き方に共感したり、自分が出来ていない部分を反省して、(これからに生かそう)と思うのです。

読んでいる時は 「あ~そうだよね。そうしなくちゃ。」と思うのに なぜか すぐに忘れちゃうけど。それも 生きているあかしですよね。

今回の言葉で響いたものは

3-1 「生きるのに精いっぱいという人が たいてい見事な人生を送る」

基本的に女というのは 余計な事を考える時間があると 余計なことをしてしまう。

ホントにそう。ヒマな時間ほど あれこれいらんことを考えて、やらなくていいことをしようとする。

3-2 「女が徳のある、いいシワのある顔相になるためには、本当にとことん自分のエネルギーを使い果たさないと」

いい顔をしたおじいさんは多いけど、いい顔をしたおばあさんてのが少ない。女の橋梁の狭さだと思う。

他にも

「自分で一番得したことは 不器量と言うか 不細工だったこと」など けっこう 女性の顔に関して語り、年齢とともに変わりゆく自分の受け止め方を語っています。

(若く 綺麗になりたい)と誰しも思うところでしょうが、自分自身の顔に自信を持つ そんな大人の女性に 私もなりたい。

 

3-3 「死ぬまでの間に 残したくない気持ちを整理しておく」

会っておくとか、話しておくとか。

これ 難しいですよね。とくに疎遠になった人とか、謝りたい人とか 足が遠のいちゃう。でも 後悔はしたくないなぁ。

3-4 「‘きょうよう’があることに感謝する」

「今日 用があること」それを1つずつやり遂げていく。

これは ひとり暮らしの母にいつも 思うことです。病院やリハビリなどが主な予定だけど、太極拳やカラオケなど趣味の仲間の話は 声が弾んでいます。

気持ちが下がり調子の時は 手仕事好きな母に私からリクエストしています。現在のミッションは「けんこう草履作り」 出来上がりが楽しみです。

 

3-5 「おごらず、他人と比べず、面白がって、平気に生きればいい」

これは この本の最後に掲載されています。 樹木希林さんの葬儀の際 喪主代理を務めた 娘 也哉子さんのことばです。

生前から 何事も「面白がって」生きることを伝えて来た樹木さん。ちょっと破天荒すぎる両親だけれども しっかりと育ってきた様子がうかがえます。

 

その他にも素敵な言葉がたくさん詰まっており、堅苦しくなく面白おかしく読め、手に取った人の人生に合わせて その感じ方は違ってくると思います。

おすすめの1冊です。

4.  フランス人建築家 ル・コルビュジエが晩年に妻と過ごした別荘

この本の中で、樹木希林さんは不動産への執着を語っています。

以前 テレビで どなたかの家をお宅拝見していた希林さん。「人の家見るの大好き」と子どものようにはしゃいで 見て回っていました。

住宅情報誌は3~4時間でも見ていられるし、鶴瓶さんが「新築した家にまだ共演したことないのに アポなしで突撃して見にきた」という話をラジオで語っていました。

そんな 家好きの樹木希林さんがル・コルビュジエがフランス地中海建てた夫婦二人で住むための小さな別荘「カップ・マルタンの休暇小屋」を見て、不動産への執着がストンと抜けたそうです。

あんなに世界的な大建築家が、最終的にたどり着いたのが小さな別荘。それを見て「身軽になった。今は自分がこの世につないでいるあれこれの鎖を、欲望も含めてひとつづつ外している感じ」と語っています。

これはTV番組「ぴったんこカンカン」で浅田美代子さんとフランス旅行していますね。私も本物が見てみたい!!

*突然ですが、このル・コルビュジエの小さな別荘「カップ・マルタンの休暇小屋」 埼玉の行田市にある ものつくり大学のキャンパス内に再現されていました。

 「世界を変えたモノに学ぶ/原寸プロジェクト」第一弾として、2011・2012年の卒業生たちが、窓の取っ手からねじ、壁面など2年かけて忠実に再現されているそうです。

オープンキャンパスで見学できるようですが、今年はコロナの影響で、一般見学はできません。

うぅぅ・・・ 高校生の子供がいれば見れたのに。 フランスはずいぶん遠いので、まずは 埼玉の「カップ・マルタンの休暇小屋」(レプリカ)をいつか見学します。

5.  まとめ

たくさんのステキなことばを語っていた樹木希林さん。実は樹木さんの言葉集を読んだのは2冊目です。

前回は『樹木希林 120の遺言 死ぬときぐらい好きにさせてよ』宝島社 こちらもサラッと読めて、でもじんわり心に響きます。

今回 心に響いた言葉をピックアップしたのですが、この本には載っていませんが、何より1番響いたのが、アノ「あん」の上映後のゲストトークで樹木さんが仕事について語っていた時、病気の話になって

「仕事はそういつまでもしがみついているもんじゃないのよ。【時が来たら 誇りを持って 脇にどく】そうやって どんな仕事も受け継がれて 続いていくんだから。」と。 その時の自分に 一番響いた言葉でした。

またこの本を手に取って 読み返したいと思います。その時 どんな言葉が心を揺さぶるのか 楽しみです。

ぬっぺ/Nuppe

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