電子回路

小信号ダイオードの定格電流と、直流定電流の関係

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小信号ダイオードの定格電流の見方について説明します。

1        小信号ダイオードの定格電流値

基本的にダイオードの定格電流は、下記の図 1の回路のように、正弦波を与えたときに半波で流れる電流の平均電流が使われています。

図 1 ダイオードの定格電流を流すモデル

半波という言葉でほぼ理解できると思いますが、LTspiceのシミュレーションで波形を出力してみました。ダイオードにはロームの1SS355VMを使用しました。結果を図 3に示します。 電力は青、電流は赤となります。

電流値の平均値が100mA (最大定格)時に 電力は107mWでした。図 2の外形から考えると妥当な電力といえます。

 

図 2 1SS355VM外形

図 3 ダイオードの電力(青)と電流(赤)

小信号ダイオードを正弦波の整流で使うことがあるのでしょうか。私の経験では一度もありませんでした。本当は、単純に直流電流の定格を示して欲しいですよね。

図 4はシミュレーションで使った1SS355VMの前のモデルで、1SS355というチップダイオードの電流パターンと最大平均電流値を示した製品のデータシート掲示のグラフです。

型名の末尾にVMがあるかないかの違いのダイオードです。製品の置き換えを勧めてきた営業マンの情報では特性はコンパチだそうです。これを見ると、ダイオードの平均整流電流は100mAですが、直流で使用した場合は160mA弱流せることが分かります。また、1/2デューティの方形波を流した時は、110mAと定格電流の10%もアップしています。

流す電流のパターンによって平均電流がこれだけ違うのは驚きです。

図 4 1SS355の電流パターンと最大平均電流値

一体、どうしてこのようなことが起こるのでしょうか。

この電流パターンによる最大電流値の違いについては、LTspiceを使って、実際の電力を比較しながら、特性を確認しようとしましたが、同一電力時の 正弦波電源と直流電源を比較してもデータシートに記載してあるような平均電流の差異を得ることができませんでした。シミュレーションが間違っているのか、何か別の要因があるのも知れません。

1SS355VMのデータシートを見るとこの項目が掲載されていません。際どく攻めて設計する際には、ここはしっかりとメーカに確認する必要があると思います。

 

2        ダイオードのモデルを LTspiceに追加

今回、ロームの1SS335VMのモデルをスパイスに追加しました。

追加方法を記載しておきます。

メーカからSpice用のモデルをダウンロードします。

ZIPファイルですので、解凍し、下記のファイルを

1ss355vm_th.lib

lib\subディレクトリの下に新しいディレクトリを作成して貼り付けます。

私の場合は、C:\Users\“ユーザーネーム”\Documents\LTspiceXVII\lib\sub\mylib

subの下に直接貼り付けても動作しますが、

LTspiceのアップデートによってファイルが更新された場合に分からなくなってしまう可能性があるとの書き込みがあったため専用ディレクトリを作成し保存しました。

モデルが保存されたら回路図に適用させる作業です。

ダイオードの場合は メニューバーにダイオードのアイコンがありますので、通常の回路図を書くときと同様、ダイオードのアイコンをクリックして回路図上に置きます。

ダイオードの添え字のDを右クリックするとダイアログボックスがでてきます。”Value”の箇所を先ほど追加したダイオード名”1SS355VM”と入力します。

そうすると部品のValue表示が以下の様に変わります。

部品の上で右クリックすると以下のボックスがでてきます。

ここには Manufacturer 、Type等情報が表示されています。登録はこれで終了です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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