子育て広場で会う赤ちゃんたち。小さな体をいっぱい使って 興味があるおもちゃで遊んだり、目標に向かってひたすらハイハイしたり、ヨチヨチ歩いたり、元気いっぱいです。
そして動き回る赤ちゃんたちの後を 追いかけているママたちはとっても大変です。中には よだれの多い我が子の行方を目で追いながら、赤ちゃんの通ったあとを 手に持ったガーゼのハンカチで拭いているママもいます。
赤ちゃんのよだれが多いと、すぐにスタイやシャツの襟もとがぐっしょり濡れて着替えが必要だったり、肌が荒れたり、遊んだおもちゃを拭いたりしなくてはいけなくて大変なことがいっぱいです。
でも 実はこのよだれ(唾液) けっこう体に必要で、いい働きをするのです。
今回はよだれ(唾液)の役割と、よだれが多いために起こりやすい不快な症状の対策を考えましょう。お口のケアが気になる大人も必見ですよ。
目次
1 赤ちゃんのよだれ
1-1 よだれって なに?
「よだれ」とは、口の外に流れ垂れる唾液(だえき)
「唾液(だえき)」とは、唾液腺から口腔内に分泌される消化液。無色・無味・無臭でやや粘い。人ではアミラーゼ・マルターゼなどの酵素を含み、でんぷんを一部消化し。また食物を飲み下しやすくする。 ~広辞苑より~
1-2 よだれが垂れる時期はいつからいつまで?
唾液は唾液腺という組織で作られて分泌されます。1~2か月の頃の赤ちゃんはまだ 唾液を出す機能が未熟なので、唾液量は少なく口からよだれが垂れることよりは、飲んだお乳やミルクを口から垂らすことが多いです。
唾液腺が発達してくる4~5か月頃から唾液は増え始め、離乳食が始まるおおむね6か月頃には 唾液量も多くなります。しかし この頃の赤ちゃんはまだまだ口の周囲の筋肉が弱く、唾液を飲み込む力も未熟なので口から出てきてしまいます。それがよだれです。
よだれは口の筋肉が発達して、飲み込む力がついてくると自然に落ち着いてくるようです。1歳くらいになるとよだれは少なくなりますが、2,3歳の子でもよだれが出る子もいます。
*よだれの量や飲み込む力は個々の成長によるので、個人差が大きいです。我が子の成長を受け止めながら「ご機嫌で遊んで、すくすく育っている」ことを大切に、おおらかに見守りましょう。
1-3 よだれで分かる体調
赤ちゃんのよだれの量は体調でも変わります。いつもとは違ったよだれの出方をしている時は、熱を測ったり、食欲、便の状態、ご機嫌など注意深くみてあげてください。
【いつもよりよだれが多い】
・手足口病・口内炎・咽頭炎・ヘルパンギーナなど口や喉が腫れたりただれたりして、痛みの刺激でよだれが多く出ます。口の中の状態もみてあげましょう。
【いつもよりよだれが少ない】
脱水症状かもしれません。大量の汗をかいた時、お出かけ前や帰宅してから、お風呂の後、そして大泣きした後など、こまめな水分補給をしましょう。
水分補給については 「知っておくと役立つ!赤ちゃんとの生活 夏の過ごし方 1」 赤ちゃんの水分補給について に詳しく書いてありますので、参考にしてください。
*赤ちゃんの体調をよくみて、熱が高い、ぐったりしている、ご機嫌が悪い、食欲がないときなどは かかりつけの医師に相談しましょう。その時に いつもとは違う赤ちゃんの様子を伝えてください。
2 唾液の働きを知ろう!
よだれの量は個人差が大きいです。成長過程と分かってはいても、いつもポタポタとあちこちによだれを垂らしている赤ちゃんのママは お世話が大変です。着替えも多くなり、洗濯物も増えるでしょう。
「よだれが多いのは 元気な証拠」とご高齢の方から言われたことはないですか?
【唾液の働き】
・口の中の食べカスを洗い流して、虫歯や口臭を防ぎ清潔に保つ。
・唾液の中の酵素が食べ物の分解を手伝い、消化を助ける。
・唾液が味のもとを 味覚センサー(味蕾みらい)に運び、味を感じやすくする。
・食べ物と唾液が混ざることで 食べやすく飲み込みやすくなる。
・唾液が口の中を潤し、歯や口の粘膜を覆い細菌やウィルスの増殖を防ぐ。
・唾液の成分が歯の再石灰化を促し、虫歯になりにくくする。
・口の中が潤うことで舌や喉の動きが滑らかになり、食事や会話を助ける。
3 よだれ対策
3-1 肌荒れ予防
赤ちゃんの皮膚は薄く、「バリア」機能がまだまだ弱いです。よだれが多い赤ちゃんは、絶えず口まわりがよだれで濡れていて かぶれてしまうことがあります。
よだれがでたら こまめにガーゼなど柔らかい布で優しく拭いてあげましょう。赤ちゃんの皮膚に負担が少ないように こすらずに押さえるように拭くのがコツです。
食事・おやつの前やあと、外から帰ったら、お風呂の後など 生活の区切りの時に 濡れた清潔なガーゼや肌に優しいノンアルコールのウエットティッシュで汚れを落とし、ベビーオイルやワセリンで保湿することも大切です。
コロナ禍の今や、インフルエンザ、ノロ・ロタウィルスや風邪のはやる時期は とくに取り入れたい習慣ですね。
3-2 衣類やスタイ(よだれかけ)
Tシャツなど襟元がよだれで濡れてしまうと、着替えが必要になります。お出かけ先などでは荷物も増えて手間になります。
そんな時役立つのが「スタイ(よだれかけ)」最近は本当にかわいいものが多いです。手作りでガーゼ&バンダナ、タオル地のリバーシブルなどつけている子もみかけます。
よだれの出る時期は短いですが、ぜひ 数枚準備して「濡れたら替える」を心がけて清潔を保ちましょう。赤ちゃんの首のしわにも よだれは溜まります。上記の方法で肌を拭いてください。
3-3 家の中のよだれ対策
赤ちゃんは歯固めをしたり、興味のあるものを舐めたりかじったりするのは仕事のようなもの。よだれが多い少ない関係なく、家の中は 体に害がないように考えつつ、清潔に保ちたいですよね。
洗える布製のおもちゃやマット類はこまめに洗濯をします。プラスチック製品はアルコールや除菌シートで拭くといいでしょう。
床は素材にもよりますが、よだれで汚れたらその都度 ウエットティッシュや水拭きをしましょう。重曹を水に溶かしてスプレー瓶に入れて、汚れにスプレーしてから雑巾で拭きとるのも安心です。
4 成長しても大切な役割がある唾液
学生の頃や大人になって、緊張やストレスで唾液が出なくて、のどがカラカラ・ネバネバになったことありませんか?
唾液の分泌は自律神経でコントロールされ、その質や量が変化します。また、病気や薬、加齢や生活習慣も大きく影響します。
唾液の分泌がとても少なくなると「ドライマウス」(口腔乾燥症)という病気で、虫歯や歯周病、強い口臭や感染症、嚥下障害や味覚障害などさまざま症状があらわれます。
おとなも健康を考えて、唾液の分泌を促しましょう。こまめに水分を取ったり、話したり、笑ったり、歌ったりして口の体操をすることも分泌を促します。
きっと気分もリフレッシュされて、免疫力も上がり体調にも良い影響がありますよ。
【唾液腺を刺激するマッサージ】
耳の前の上の奥歯のあたりをくるくると優しくマッサージ。(10回 食事前が効果的)
赤ちゃんのよだれから 唾液の大切な働きを紹介しました。赤ちゃんの健康や家族みんなの健康にも 唾液は口の中で役立っています。
よだれ対応は少し手間がかかりますが、「赤ちゃんがすこやかに育つためのアイテム」と思って おおらかに見守ってくださいね。 ぬっぺ/Nuppe