電子回路

各国で回路図に使う電解コンデンサの図記号(シンボル)が異なる! どの記号を使うのか

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電解コンデンサの記号は、何十年も電極間に斜線を引いた記号を使ってきましたが、最近Eagle CADを使いだしてから、この記号が標準で設定されている電解コンデンサが無いことに気が付きました。

今まで当然の事の様に使っていたこの記号はどうやらグローバルな表記ではないようです。

調べてみると、この記号は日本でしか使われていないようです。

昔のJISに記載されていた記号で、現在のJIS(2011年度版)で指定された記号は既に変更されています。

以前の会社では、昔からの慣例でこの記号を使用していたようです。

しかし、外部に回路を製造委託する会社では、製造委託先として、国内ばかりでなく、中国やベトナム等にも発注する可能性があるため、相手先が困惑しないように、どこの国の会社でも標準的に使用している記号を使いたいものです。

1        JIS規格

現在のJISを調べてみると極性のあるコンデンサの記号は JISC06174-4:2011 にありました。

図記号番号(識別番号)は 04-02-05(S00571)で記号は以下です。

斜線が取れて、随分あっさりした記号になりましたね。

新しいJISは国際標準規格IECに合わせて制定されています。

回路図記号としてはこの記号を使うことで、海外の製造先にも違和感なく受け入れてもらえると思います。

2        他国の記号

ちなみにアメリカ、欧州の記号はどうなっているのでしょうか。

2.1         欧州

欧州は基本IECで決められた記号を使用しています。IECの記号は以下です。

「+」の位置は左右で違いますが、最新のJISと同じです。

2.2         アメリカ

アメリカの記号は米国電子工業会(Electronic Industries Alliance)が制定した規格で、以下の記号を使用しています。

3        国内出版物

2021年1月版の各社の技術雑誌に掲載された回路図から、電解コンデンサの記号にどんなものが使われているか調査してみました。

結果は以下の表です。

雑誌名 出版社 電解コンデンサ記号
ラジオ技術 アイエー出版
トランジスタ技術 CQ出版
CQ ham radio CQ出版
MJ無線と実験 誠文堂新光社
I/O 工学社

圧倒的に旧JISの記号を使用していました。特に、トランジスタ技術は、回路のH/W設計者にとって昔から慣れ親しんでいる歴史ある雑誌です。

こうなってくると、新JISの記号を使うべきか悩んでしまいます。

結論

回路図が国内の範囲で使用されるのであれば、旧JISの記号は今でも汎用性があるため継続して使うのは問題ありません。

海外展開する場合は、IECの基準(新JIS)の方が無難であると思われます。

 

 

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