博覧強記

自動車の自動運転技術の進化

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車の自動運転の歴史を書籍「AUTONOMY 自動運転の開発と未来」から拾ってみました。

現在は自動車会社のみならず、IT企業までもがこの分野に参戦し、百花繚乱状態です。

2021年3月28日もソニーが昨年米国「CES」で発表した電気自動車「VISION―S(ビジョン エス)」を国内で一般公開しています。

しかし、最初から各企業が関心を示したわけではありませんでした。

以下、この本の章立てに沿って今日までの歴史を書き残しておきたいと思います。

1        自動運転の始まり

1.1         2004DARPAグランドチャレンジ

自動運転の始まりはアメリカ国防高等研究計画局(DARPA:Defense Advanced Research Projects Agency)が主催した無人ロボカーレースに遡ります。

何年もの間、同組織は自動運転を研究してきました。

自動運転を実用化できれば、歩兵の代わりに無人の軍事ロボットを戦場に送り込むことができます。

しかし、課題が難しすぎて開発が進んでいませんでした。

そこで窮余の一手として開催したのが、このレースです。

コースはカリフォルニア州バーストーからネバダ州のプリム迄、モハーベ砂漠を横断する約240kmのコースで、最初にゴールしたチームに賞金100万ドルが与えられます。

このレースに参加した大学、高校のチームです。

カーネギーメロン大学

パロス・ペルデス高校

カリフォルニア大学バークレー校

カリフォルニア大学ロスアンゼルス校

その他にも個人参加のチームを含め総勢15台のレースとなりました。

しかし、結果は、カーネギーメロン大学が、11.78kmまで走ったのを最長として、どの車両もゴールまでたどり着けませんでした。

当時のレベルは砂漠とはいえ、障害物の少ないコースですらこのレベルでした。

1.2         2005グランドチャレンジ

翌年には、第二回目の大会が開催されます。

コースはネバダ州のプリムを発着とする210kmで、最初にゴールしたチームに賞金200万ドルが与えられます。

195チームが応募。書類審査などで43チームに絞られましたが、結果は以下です。

スタンフォード大学      6時間54分

カーネギーメロン大学     2台 7時間05分、7時間14分

Gray 研究所          7時間30分

オシュコシュ・コーポレーション 12時間51分

1年の間にレベルがアップしたのが分かります。

1.3         2007アーバンチャレンジ

過去2回の大会を通じて荒れた砂漠の中を走行できる自動運転はできましたが、都市環境を走行できるものではなかったため、都市を舞台にした無人ロボカーレースが開催されます。

コースは、カリフォルニア州ビクタービルの軍事基地跡で総延長96 km。

6時間以内に完走することが求められました。賞金は200万ドルです。

ルールは、他の車列や障害物に対応したり車列に合流したりしながら、すべての交通規則に従う事も含まれていました。

申し込みは89チームで、実際に走行したのは11チームです。

このうち規定の6時間以内に完走できたのは4台でタイムは以下です。

カーネギーメロン大学    4時間10分20秒

スタンフォード大学     4時間29分28秒

バージニア工科大学     4時間36分38秒

マサチューセッツ工科大学  約6時間

この大会を受けて、自動運転の先が見えてきたことは確かです。

2        自動運転の開発加速 2008年以降

DARPAのアーバンチャレンジ後の自動運転の動向です。

2008年当時は記録的な自動車不況で、倒産の危機を乗り切るのに必死であったため、半世紀も先だとみなしていた自動運転に見向きする会社はありませんでした。

2.1         キャタピラー社

採鉱現場での自動運転を推進するために、カーネギーメロン大学の技術者を集め、アーバンチャレンジ向けに開発されたソフトウェアのライセンスを取得し、露天掘り鉱山の採鉱現場で、掘削機から原鉱を自動的に受け取り、処理施設に運ぶ自動運転ダンプカーの開発を行い始めました。

2.2         グーグル

1.1.1    グランド・トゥルース・プロジェクト

スタンフォード大学でアーバンチャレンジの中心人物であったスランと、ベロダイン社でライダー(物体の検知と物体までの距離を測定するセンサー)の営業担当をしていたレヴァンドフスキーの二人が中心となり、「ストリートビュー」から住所、通りの名や道路標識などの情報を取得した地図データを作成しました。

1.1.2    TV番組でピザのデリバリー 2008年9月

レヴァンドフスキーが、番組の企画で、自動運転でピザのデリバリーを行うことに挑戦。グランド・トゥルース・プロジェクトに倣って、ライダー、GPS、ホイールハブデバイスを搭載した車両を数週間で開発し達成するという快挙を成し遂げた。

1.1.3    自動運転技術研究の開始「ショーファー」プロジェクト 2008年10月

ラリー・ペイジとセルゲイ・プリンが設定した10個のルートを踏破することを目標にした。

2009年5月に第一のルートを走破

2010年9月に最後の」ルートを走破

しかし、自動車メーカは全く興味を示しませんでした。

2.1         テスラ自動車

2003年、電子書籍リーダー開発会社のエンジニアのマーティン・エバーハードとマーク・ターペニングによって設立されました。

二人は電子書籍リーダーの経験から、リチウム電池を使った電気自動車の可能性に気づいていました。

テスラの主投資家がイーロン・マスクです。

2.2         リフトとウーバー

リフトとウーバーはライドシェアを目的とした会社で、自動運転とは関係ないように見えますが、自動運転の発展形としてライドシェアの可能性のあることに気づき、後に積極的に自動運転に関わるようになります。

1.1.4    ウーバー

2009年3月にトラビス・カラニックとギャレット・キャンプにより設立。

一般人が自分の空き時間と自家用車を使って他人を運ぶ仕組みを構築しています。

 

1.1.5    リフト

2012年6月ローガン・グリーンとジョン・ジマーによって「Zimride(ジムライド)」(2人が2007年に設立していた長距離ライドシェア企業)のサービスとして設立されました。

ウーバーと同じく一般人の配車サービスを行っています。

3        技術の製品化

3.2         グーグル

2011年から高速道路向けの運転支援機能の製品化を進めました。

2012年 自動運転専用の車両Firefly(ファイアフライ)を開発に着手。

2015年 開発した技術の商品化をすすめ、フィアット・クライスラーと提携。

2016年12月 自動運転車開発部門が分社化してウェイモ(Waymo)が誕生

3.1         ウーバー

2015年からオンデマンドモビリティ用の自動運転開発を始めます。

3.2         テスラ

2015年10月に自動運転を可能にする「オ―トパイロット」のソフトウェアを利用可能にしました。

新興の自動車会社でないため、積極的に自動運転の技術開発に取り組み、それを売りにして車両を販売しています。

3.3         他メーカ

2015年フォード、ルノー、日産、トヨタ,GMなどの自動車メーカが次々と自動運転の研究開発に投資することを表明します。

2015年は自動運転の歴史において、ターニングポイントとなった年です。

4        自動運転の事故

4.1         テスラの事故

2016年5月7日、フロリダの高速道路を自動走行モードで走っていたテスラ モデルSが、信号のない交差点を左折していたトレーラートラックの側面に潜り込むかたちで衝突して死亡しました。

テスラ車は運転者に対して「ハンドルに手を添えてください」という警告を7回表示したが、ハンドルに手を添えていなければならなかった37分間の走行中、25秒間しかハンドルを握っていませんでした。

この事故を受け、テスラは同年9月、車内の安全警告に反応しなかった運転者にはオートパイロット機能を使用できないようする最新アップデートを発表しました。

この衝突事故を個別に調査した米国幹線道路交通安全局は2017年1月、クルマには欠陥の証拠が認められなかったと結論付けていますが、テスラの自動運転システムは車を他の車の側面に接近する状態から保護するように設計されていないことも明らかになりました。

テスラは過剰に自動運転技術を販売時に喧伝する傾向があります。

この他にも、テスラ車に纏わる事故は続きます。

事故のたびに、ソフトウェアは改良されますが、現時点では、条件なしで全く人の手を離れて自動で運転できる車両は数年先の話となりそうです。

5        これから

2021年2月ドイツ連邦政府はレベル4車両の公道一般走行を可能にする道路交通法の改正案を閣議決定しました。

2021年半ばまでの法案可決、2022年までの施行を目指すとしています。

政府も後押しして、車両が開発される前に法整備が整えられます。今後も各国でこの動きは加速してゆくでしょう。

自動車事故の90%以上が人間のミスによって起こっています。

また死亡事故も増えています。

その原因の一つとして、スマホの普及によって人々が運転に集中しなくなったことも影響しています。

自動運転が本格導入されることで、交通事故で亡くなる人を減らすことも、この技術の使命でもあります。

 

 

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