第164回直木賞を受賞した西條奈加「心淋し川(うらさびしがわ)」は、江戸・千駄木町の一角にある架空の町「心町(うらまち)」の六兵衛長屋で暮らす人々の“そこに生きる姿”を描いた6連作の短編集です。
華やかさはないですが、日々の生活のなかで喜んだり、悲しんだり、苦悩したりする江戸の庶民を描いた小説です。
一生懸命、古地図で根津権現の周辺を探しましたが架空の町とは・・・・、見つからない訳です。
目次
1 根津権現
短編集全体を通じて話の舞台になっている根津権現の古地図は以下です。
今も昔も躑躅の名所です。
現代地図も比較のため載せます。
日本医大から根津神社方面は坂道を下ります。
大きな神社でした。根津神社の門です。
こちらが本殿
小説では、裏門の外に貧相な楡の木があり、そこに物乞いの楡爺が、ひがな一日います。
「はじめましょ」では、根津神社で、昔捨てた”るい”という女が唄っていた地口尻取を口ずさむ女児に出会います。
敷地内にある乙女稲荷神社
2 岡町(遊女屋の並ぶ街)の宮下町
門前町の南隣には岡町(遊女屋の並ぶ街)の宮下町があります。(P12)
「明けぬ里」で出て来る明里姐さんのいた「三囲屋(みめぐりや)」は門前町にあったとの記載があるので。宮下町の北に位置します。
宮下町は古地図でも確認できました。
西に白山と本郷、東に上野山、東西の台地に囲まれた谷底を藍染川が流れているということでしたが、藍染川は古地図に見つけました。
今の地図には見当たりませんが、暗渠になったのでしょうか。
3 白山神社
「はじめましょ」で、四文屋という飯屋を兄貴分から引き継いだ与吾蔵は仕入れに回る前に参る白山権現と根津権現にお参りします。
白山神社は、都営地下鉄・白山駅からすぐのところにあります。
階段を登った高台にあります。
毎年6月になるとあじさい祭りが開催されます。
あじさい祭りの様子は 文京区・白山神社のあじさい祭り で報告しています。
4 赤目不動(南谷寺)
「明けぬ里」では、安産祈願に ”明里” ねえさんが目赤不動を拝みに行ってます。
東京メトロ本駒込駅から徒歩で4分のところにあります。
5 護国寺
[閨仏(ねやぼとけ)]で、六兵衛の妾の "りき" さんは、仏師の郷介(ごうすけ)から、護国寺の居開帳に誘われましたが、当日、旦那の六兵衛が亡くなり、行くことができませんでした。
護国寺は東京メトロ有楽町線「護国寺駅」を出てすぐのところにあります。
護国寺には三条実美のお墓がありました。