昔から映画が大好きで、小さい頃は母に連れられて、ディズニーやチャップリン、なぜか母の趣味のアランドロンの映画をよく観に行きました。
夏休みや冬休みの楽しみはもちろん「東映まんがまつり」
昔は2本立てや3本立ては当たり前だったのに・・・・。
大人になって無声映画を何回か観る機会があり すっかりはまってしまった私。
チャップリンも無声映画で、活動弁士なんてついていませんでしたが、なぜか動きと少ない字幕だけで とても楽しく観ていたのを覚えています。
今回 映画のまち調布で「主に映画製作の現場を支える技術者や制作会社といった「映画のつくり手」に贈る賞」
2021年 映画のまち調布賞 照明賞と美術賞をW受賞した 周防正行監督 映画「カツベン」を観てきました。
目次
「活動写真弁士」とは
活動写真(サイレント映画/無声映画)の上映中 画面に合わせて内容を説明したり、登場人物のセリフを言ったりして映画を解説していく。
活動弁士・活弁(カツベン)・弁士と略して呼ばれる。
日本で映画が初上映されたのが明治29年(1896年)神戸。
「キネトスコープ」という初期の映画鑑賞装置で上映された。木箱を覗き込むため1人ずつしか見られなかった。
連続写真を記録したセルロイドのロール・フィルムを、光源の前でシャッターを切りながら高速移動させて動く映像を作り出した。
上映の時間は短いので、口上を述べて、機械の説明・内容を弁ずるのが活弁士の始まりだった。
初期の映画はフィルムに音をつける技術はなく、欧米では映画の中に挿入されるセリフや背景解説のショット(図を参照)と生伴奏の音楽によって上映されていた。
日本では映像との言語や文化背景が違い、上映する際には口頭で説明することが必要であった。
日本では人形浄瑠璃における太夫と三味線、歌舞伎における出語り、のぞきからくり、写し絵、錦影絵の解説者といったナレーション文化がすでに定着していた。
話芸の文化が多彩にある日本においては、映画作品の内容にあわせて台本を書き、上映中に進行にあわせてそれを口演する特殊な職業と文化が出現した。
映画「カツベン」
2019年作品 監督:周防正行 脚本・監督補:片島章三
出演:成田凌、黒島結菜、永瀬正敏、高良健吾、竹野内豊、竹中直人、渡辺えり ほか
【内容】子どもの頃、活動写真小屋で観た活動弁士に憧れていた染谷俊太郎(成田凌)。“心を揺さぶる活弁で観客を魅了したい”という夢を抱いていたが、今では、ニセ弁士として泥棒一味の片棒を担いでいた。そんなインチキに嫌気がさした俊太郎は、一味から逃亡し、とある小さな町の映画館に流れつく。本物の弁士を任され、期待で胸が膨らむ俊太郎だったが、そこには想像を絶する個性的な曲者たちとのトラブルが待ちうけていた!
周防監督、美術担当 磯田典宏さんのトークショー
上映の後に 周防監督と美受賞を受賞した磯田典宏さんのトークショーがありました。
まず初めに話の中心となる「小屋つくりをどうしようか」と 現存している芝居小屋を見て回ったそうです。
そして 中は現存する福島市内にある芝居小屋 国指定重要文化財「旧広瀬座」(推定 明治20年建造)で撮影。
劇中では「青木館」として登場していました。
面白かったのが、周防監督は「無声映画は 解説無く観るのが正解!」と自負して、ビデオを借りてはサイレントで観ていたそうです。
しかし 弁士の個性で話しのイメージが変わってくる、日本のカツベン文化の面白さを この映画を作るにあたり学んだそうです。
登場する様々なカツベン役の方々は、モデルになった活弁士の特徴やエピソードを取り入れたとか。
この映画とトークショーに活弁士の澤登翠さんが 客席で観覧していました。以前 坂東妻三郎の「雄呂血」(小津安二郎映画)で拝聴しました。
テンポが良く素敵でした。
無声映画の音楽
映画「カツベン」の中では、三味線や太鼓など無音映画に合わせて演奏する楽士さんが登場していました。
「カツベン」の中では メイン楽士役の俳優さん以外にも 滋賀でのロケーションでは、楽器ができるエキストラさんが演奏に参加していたようです。
その他私が観た無声映画では、映画「百萬両秘聞」で活弁士 坂本頼光さんが弁じた時は、ギターやバイオリン。三味線の演奏。
映画「つばさ」の活弁士は斎藤裕子さんで、川谷絵音率いる「ジェニーハイ」でキーボード担当の新垣隆さんがピアノ演奏していました。
今回 活弁士が主人公の映画を鑑賞したので、久々に本格的な無声映画が観たくなりました。
無声映画はなかなか上映していませんが、イベントなどでみつけたら ぜひ観に行きたいと思っています。