秩父まつり会館は、毎年12月2日(宵宮)・3日(大祭)に行われる日本三大曳山祭の一つ「秩父夜祭」を中心に、秩父の祭りについて紹介する展示館です。
お祭り当日は、近くの熊谷市でも浴衣を着た女性が秩父鉄道に乗っていく姿が見られます。
お祭りに行った事は無いのですが、本館の展示を見て、その熱気を感じることができました。
1階には傘鉾と屋台の展示がありました。
傘鉾
宵祭りで、これらの車が街を練り歩いていたら綺麗でしょうね。
秩父盆地には各地に笠鉾が散在するが、 特に秩父夜祭の笠鉾は豪華で、 屋台に遜色ない装飾をこらし、華麗な姿を今に伝えている。
そして真柱(しんばしら)の周囲に、 屋形をも複合させる迄に発展したのが現在の中近、 下郷の両笠鉾である。
ここに展示した笠鉾は、 寛政7年(約二百数十年前)に再建された下郷笠鉾を復元したもので、 腰幕は腰廻りの装飾と一体となり、高い鉾を安定させ支持する腰廻りとするため特に豪華にした。
金幣は妙見菩薩の幣、真柱に添えた松は標山のなごり、各層の笠には浄土を連想させる彫刻を配し、層笠の三角の袋には五穀を納める等、 秩父夜祭だけにみられた絢爛豪華な笠鉾である。
この屋台は、 表柱間 2.42m、 妻 3.94m、 向い大唐破風造りで、 襖の部分が回転する回り舞台である。
襖の前が舞台で、舞台には三方同時に上げ下げできる「さげ幕」 を吊る。 襖の裏側が屋台囃子を叩く楽屋である。
規模、構造、 装飾とも重要民俗文化財に指定されている四基の屋台に劣らない昭和建造の屋台である。
満二ヵ年の歳月と、 優秀な伝統工芸技術を保持する現代の名工といわれる人達が、往時の屋台造りを偲び、 この地に名作を残すことを誇りとして完成した総合芸術である。
秩父夜祭の屋台は妙見信仰を基盤に大成したもので、 ゆれ動く燈火に映えて、 御旅所に向う屋台は、動く陽明門ともいわれる。
亀の子石のレプリカ
祭り当日、秩父神社を出発した6基の笠鉾・屋台は、町内を曳き廻され秩父神社から南方に約1km離れた「お花畑駅」近くの御旅所(おたびしょ)に到着します。そこで、鎮座する「亀の子石」の背中に高さ180cmの大幣束(へいそく)が立てられるのですが、これは秩父神社の妙見菩薩(女神)と武甲山に住む龍神(男神)が、年に一度、亀の子石で出逢い、逢瀬を交わすことを意味していると言われています。
秩父夜祭の屋台芝居は、 約250年の歴史を持ちます。 宮地・上町・中町本町の4つの屋台は、 両脇に張出舞台をつけ本芸座・仮芸座を組立てることで移動式の歌舞伎舞台に変身します。
客席は道路や神社の境内であり、街そのものが劇場になります。
これらは秩父地方独特の屋台行事で、曳き踊りとあわせ「国重要無形民俗文化財に指定されています。
屋台芝居は屋台を持つ4つの屋台町会が毎年交代で行っており、町会に「よっては、小学生による子ども歌舞伎も披露されています。
御旅所(おたびしょ)は大祭の3日夜に神事を行う場所です。
一角には亀の子石が配置され、神霊が宿る幣束をこの石像の上に立てます。
御神幸行列と2台の笠鉾と4台の屋台が御旅所の定位置に到着すると斎場祭がはじまります。
この神事は幕に囲まれた斎場で関係者のみで行われるため、一般の人はみることができません。
神事終了後は、一般人も斎場に入りお参りすることができます。大榊の垂紙をつけた枝は縁起物や厄除けのお守りとして持ち帰る人もいます。
曳行の途中、街の辻や他町会所前、秩父神社境内門前などに屋台を止め、屋台の上で長唄などに合わせて踊る屋台行事の所作事です。
町会毎に所作を行う場所が決まっています。
演奏する人を地方、 踊る人を立方と呼びます。
立方は2歳から大人までの秩父地方の子女がつとめます。
毎年月の川瀬祭終了後から約4ヶ月に渡って稽古を行い、 夜祭に華を添えます。
また斎場祭でも奉納します。
秩父神社神楽は、 秩父神社の神楽殿を舞台に独特な形式で古典神話を演じ奉納される神代神楽です。
現在の神楽は、江戸中期に神話から題材をとった演目など35座で構成されています。
舞いには能や歌舞伎の手法が取り入れられ、黙劇ながら演劇的な表現を多用していることが特徴です。
3日の夜に御旅所で神事として行われる代参宮神楽は、 面を付けずに2人1組で舞う古風な舞と言われています。
これらの神楽は保存会の会員によって演じられています。
猿田彦大神は御神幸行列で道案内を担う神です。朱色の鼻高面が特徴です。 秩父神社からご祭神を乗せた神輿を警護する神幸行列の先頭に立ち、御旅所斎場までの道中を導きます。
花火と車の競演も見ものなんでしょうね。
3日の大祭の夜空を彩る花火は、 煙火町会(笠鉾・屋台を出さない町会)が奉納するものと、企業の協賛を得て観光協会が行う尺玉コンクール、スターマイン大会などが「あります。
これらは6台の笠鉾・屋台が御旅所に揃うまで続きます。
行燈の明かりに彩られた屋台・笠鉾と花火の競演が、 夜祭の終盤を華やかに盛り上げています。
笠鉾・屋台には、方向を変えるためのハンドルはついていません。
そのため、十数トンもある笠鉾・屋台の方向転換には、 主に 「ギリ廻し」という手法が使われています。
テコの原理を応用したもので、「てこ棒」と、「ギリ」 または 「ギリ棒」 とよばれる凸型の台を用います。
てこ棒の操作は十数人で行い、小太鼓による 「玉入れ」が響く中、囃し手と囃子方を笠鉾・屋台に乗せたまま廻しています。
ギリ廻しの呼称は町会によっては「キリン」と呼ばれています。