2021年7月17日(土)のブラタモリでも紹介されていましたが、石川県の金沢城址は、前田利家公入城後から構築された各年代の石垣を見ることができ、石垣の博物館と呼ばれています。
今回は東側の「いもり堀」~「石川門」の石垣を散策しながら観察しました。
「石川門」は搦手門で、いわば、お城の裏口になりますが、兼六園と繋がっているため多くの観光客はこちらを使って城址に入場します。
金沢城では、前田利家の入城後、本格的な石垣づくりが始まりました。
出入口や庭園といった場所に応じて、特殊な技術やデザインが工夫されたこと、また何度も修築が繰り返されたことなどから、現在、さまざまな種類の石垣を見ることができます。
さらに、石垣づくりの秘伝書、石を切り出した丁場、石引き道の存在など、石垣に関する歴史資料や環境がそなわっていることをあわせ、金沢城は「石垣の博物館」と呼ばれています。
ありし日の城の姿に思いをはせながら、金沢城の石垣をめぐってみてはいかがでしょうか。
目次
1 石垣の種類
1.1 自然石積み
初期の石垣に見られる積み方です。
自然のままの石や、簡単に割っただけの石を用いて積み上げる技法で、野面積みともいいます。
隙間には小さな石を入れますが、これを間詰めと呼びます。
勾配が必要で、高く積むのは難しいです。
適当に積み上げる形なので、表面の凸凹は激しく、敵も登りやすいです。
しかし、排水に優れ、構造的にも安定した積み方です。地形の歪みも多少は平気です。
石垣の中で膨らんでいる部分はハラミと呼ばれていますが、特にこの部分が弱いということはないようです。
1.1.1 東の丸北面石垣
下が、東の丸北面石垣です。
金沢城のライトアップで、石垣が照らし出されていました。
1.1.2 東の丸東面の石垣
1.1.3 車橋門周辺の石垣
1.2 粗(あら)加工石積み
割石を加工し、形や大きさをそろえた石材(粗加工石)を用いた技法です。
金沢城では、二の丸北面石垣や石川門石垣がその代表になります。
1.2.1 石川門石垣
石の表面にはマークの付いたものが随分あります。
ブラタモリでも紹介されていましたが、詳しいわけは分からないようです。
1.2.2 二の丸北面石垣
堀の左側の石垣が、二の丸北面石垣になります。
夜のため、よく観察できませんでした。
1.2.3 三の丸東側の石垣
1.3 切り石済み
丁寧に加工した石を隙間なく積み重ねていきます。
方形に整形した石で積み上げる技法。
石と石の隙間はなく密着しています。正方形・長方形・多角形・鍵型などがあります。
デザイン性を重視しているので、攻撃や地形の歪みで崩れやすいです。
防御力は低く、人目につく場所に多く、外観重視の石垣です。
1.3.1 石川門
下の写真の右手が切り石積みになります。
2 金沢城の南側の高石垣
3段になっていますが、もともとは1段で、25mの高さがありました。
明治時代に改修され今の形になりました。
一番下は明治時代のもので、2段目以降は江戸初期のものです。
明治時代のものは対角線に線ができるように積んであります。
これを落し積みと呼びます。
3 鯉喉櫓台(りこうやぐらだい)
三段石垣の手前にあるのが、鯉喉櫓台(りこうやぐらだい)です。
粗加工石積みの石垣主体ですが、角の部分の算木積みは、石がきれいに切られた切り石となっています。
仙台市のHPから
算木積みは崩れやすい角の強度を高める目的で積まれました。
この技術は1600年の関ケ原の合戦以降に確立されました。
古い石垣では、この算木積みがはっきりしてないので、角を見ると石垣の年代が分かります。
今回は時間の関係で、城の東側だけしか見ていません、また時間のある時に城内庭園や、北側にある「大手門」の鏡石も見てみたいです。