持株制度を利用して自社株を積み立てた場合に、いかに低コストで現金化するのかを調べてみました。
手順は 4項 にまとめましたので、そこだけ読んでも理解できると思います。
目次
1 従業員持株制度概要
従業員が毎月一定の金額を拠出し、共同で自社株を買い付けていく「従業員持株制度」は上場企業の多くで導入されています。
この持株制度は運営する会社の持株会が、大手の証券会社と契約して市場から株を買い付けています。
ほとんどの会社では、積み立て時に奨励金を付与しているので、積み立てする社員側からすると、かなりのメリットになります。
ただし、持株会で保有する単元株式を直接売却(現金化)することはできません。
引き出しの書類を提出してから1ヶ月くらいかかります。
しかも、まずは、その証券会社に取引口座を開設し、持株会から一旦その取引口座へ株式を引き出す(振り替える)必要があります。
さて、今回は、取引口座へ株式を引き出してから後のことが本題です。
以下の例は、私の口座のあった大和証券の場合です。
2 口座管理料
持株会の株を個人口座へ引き出し後、売らずに長らく保有していると口座管理料を徴収されます。
この管理料は毎年4月1日~翌年3月31日までの1年間を前納するのだそうです。
ネット証券では払ったことのない費用なのでびっくりしましたが、大手の証券会社だからしかたがないのかな、と思って支払っていました。
私の場合、売らず保有していた期間が1.5年のため、2年間分払いました。
しかし、いまこのブログを書く段になって、証券会社のH/Pをよく読んでみると、書類を電子交付にする「eメンバー」になるだけでこの費用がなくなるということに気が付きました。
年度末には証券会社から「eメンバー」の案内が来ていたのでしょうか? 全く売買しない口座のために無為に2年間も口座管理料を払ってしまいました。
3 個人口座へ引き出した株を売り現金にする場合
株を市場で売る場合は証券会社にその取引額に応じて手数料を支払わなくてはなりません。
手数料を主要な証券会社で比較すると、SBI、楽天と言ったネット証券の手数料が安いことが分かります。
しかし、持株会が契約しているのが主に大和証券、SMBC日興証券、野村証券など昔からある会社で手数料が高めです。
株をネット証券に移管してから売れば、費用を安く抑えられます。
移管費用っていくらするのか確認してみました。
1銘柄につき
単元株数 | 手数料(税込) |
1単元 | 1,100円 |
1単元以上11単元未満 | 1,100円+1単元ごとに550円 |
11単元以上 | 一律6,600円 |
1単元は100株なので、1100株以上では何と移管するだけで6600円かかってしまいます。
これだけかかるのであれば、大和証券で売ってしまった方が簡単です。
しかし、しかし、ここでも知らない取り決めがありました。
証券会社に電話すると、持株会から払い出した株を他の証券会社に移管する場合の費用は無料というじゃありませんか。
残念ながら大和証券ではネットで手続きはできず、書面のみの手続きとなります。
早速、電話(平日8時から18時しか受け付けてくれないのですが)して移管依頼書類を送ってもらって、大和証券へ提出しました。
以上、調査した主要証券会社の費用の一覧表を下記に示します。
費用 | 大和証券 | SMBC日興証券 | 野村証券 | SBI証券 | 楽天証券 | |
1約定あたりの手数料 | 20万円 | 1100円 | 198円 | 330円 | 115円 | 115円 |
50万円 | 1897円 | 440円 | 524円 | 275円 | 275円 | |
100万円 | 3795円 | 880円 | 1048円 | 535円 | 535円 | |
300万円 | 9603円 | 2200円 | 3143円 | 1013円 | 1013円 | |
口座管理料(年間) | 1,650円※ | なし | なし | なし | なし |
※大和証券から交付する報告書類(取引残高報告書や取引報告書など)を、書面での交付に代えてパソコンなどで電子交付にする「eメンバー」のサービスを使うと無料になります。
4 持株会の株の現金化時、費用を抑える手順
大和証券の場合
証券会社に取引口座を開設
大和証券の場合は移管手続き時間がかかった場合に備え、口座管理料を無料にするための「eメンバー」のサービスに入っておく。
株引き出し依頼申請書を持株会に提出
株が個人口座へ引き出されるまで1ヶ月程待つ。
証券会社に電話して「特定口座内保管上場株式等移管依頼書」を送付してもらう
「特定口座内保管上場株式等移管依頼書」が届いたら、必要事項を記載し、証券会社に返送
移管元の証券会社に郵便が届いて最短で4営業日で移管が完了する。
と、案内には書いてありましたが、実際には投函してから土日を2回挟んで11日かかりました。
12月3日(金曜日) ポストに書類投函 →→ 12月14日(火曜日) SBI証券に反映
あとは、タイミングを見て移管先の証券会社で売却するのみ。
これで、持株会で積み立てた株を安い手数料で処分できます。