2020年10月2日公開の映画「浅田家」を見てきました。
鑑賞後、中野量太監督と、編集の上野聡一さんのインタビューがあったので、その様子を報告したいと思います。
「浅田家」の簡単なあらすじ
浅田家の次男・政志(二宮和也)は、写真家をめざしていましたが、なかなか芽がでませんでした。
とうとう家賃を払えなくなり、大阪から両親(風吹ジュン、平田満)と兄(妻夫木聡)が暮らす三重県津市の実家に戻ってきました。
そんな彼が「一生にあと1枚しか撮れないとしたら」との問いに答えて選んだ題材は「家族」でした。
家族のなりたかったものをテーマにした写真を持って東京に出た政志でしたが、どの出版社も受け付けてくれません。
展示会で声をかけてくれた赤々舎でやっと出版した写真集も散々な売り上げでしたが、写真界の芥川賞に匹敵する木村伊兵衛写真賞を受賞すると刊行した本が売れ始めます。
実際の写真集はこれです。
写真集に記した「あなたの家族写真(どこでも)撮りに行きます!!」を見て連絡のあった家族の写真の制作を開始しますが、初めて被写体に選んだ家族が東日本大震災で被災します。
彼らを心配して被災地に入った政志は、そこで被災地から回収した写真を洗浄して元の持ち主に返すボランティア活動を始めます。
そんな中で、出会った人々を通じて写真家として成長して行きます。
写真集を見た監督が、映画化を決意したという異色の経緯を経て実現された作品ですが、自分勝手な次男の要求に仲良く付き合う浅田家の仲の良さが十分に伝わりました。
特に、兄役の妻夫木聡の健気さに心を打たれました。
監督が、実際に浅田家の人たちにあった時には、かなり変わった家族で、そこに魅力を感じたようですが、逆に編集の上野さんは正志(映画では二宮和也)の何となく周りのサポートで生きて行く生き方が好きではなかったとのことでした。
撮影に入る前に、写真集の再現写真を撮ったそうですが、3日間かかりました。
しかし、そのおかげで、出演者どうしが家族の様になれ、いい雰囲気でクランクアップできたとのことです。
ちなみに、その時のカメラマンは実際の浅田正志さんでした。
編集の上野さんは結局最後までは現場に足を踏み入れなかったとのことです。
これは彼のポリシーだと思いますが、現場の雰囲気、例えば撮影に苦労したとか、時間がかかったなどの要因が編集に影響を与え、全体の流れの中でその部分を無理やり入れてしまう恐れがあるからとのことでした。
特にこの作品については言えることですが、後半は東北の震災の映像が多くなりますので、震災の余韻を残しすぎない事にも気を使ったそうです。
出来上がった作品の初品は2時間7分ありましたが、そこからエィ!っと30分カットしたそうです。
そんな感じで作品が出来上がったのですが、封切られたときは、世の中「鬼滅の刃」一色だったとのことです。
この作品も、写真集と一緒で、スタートは地味で、じわじわと人気の出て来た作品でしたね。