電子回路

LTspiceを使って設計:小信号トランジスタのローパスフィルタ

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今回もLTspiceを使ってローパスフィルタの設計をします。単純にOPAMPでフィルタ設計をするのであれば簡単ですが、今回の最終目標はトランジスタによるフィルタ回路です。

1        工程

OPAMPを使って非反転入力(+側)に信号を入力するフィルタ回路を設計し、トランジスタのエミッタフォロアを使って置き換え、同一特性を目指します。

2        OPAMPを使った低域通過チェビシェフフィルタの設計

回路図はOPAMPを使った低域通過チェビシェフフィルタです。利得は1に設定しましたので増幅はしません。

OPAMPには±5Vの電源で動作するLT1797を使用しました。

このフィルタの基本式

遮断周波数をfc=50Hzとすると コンデンサC3=0.22μFとすると

Kパラメータ(暫定計数) K= 100/(fc×C3)= 100/(50×0.22)=9.1

R1= 3.345k ×K           =30.4k

R2=10.624k ×K         =96.68k

R3=3.977k ×K           =36.2k

R4=0

C1=0.039×C3          =0.0085μF

C2=1.5 ×C3             =0.33μF

(図表によるアクティブフィルタの実用設計法 David E Johnson, John L Hilburn P71)

以上の計算から標準抵抗を選び、上図に示した定数にしました。

信号源V3の周波数を変化させて、遮断周波数fcを確認したいと思います。

メニューバーの[Simulate]から[Edit Simulation Cmd]をクリックすると、「Edit Simulation Command]ダイアログボックスが表示されます。このダイアログボックス内の[AC Analysis]タブで以下の様に設定します。

設定の意味は 周波数特性の解析を、周波数が2倍(Octave)に変化する間に20ポイントずつ10Hzから1kHzまで行い、表示するというものです。

信号源V3の設定は以下のように、回路図上のV3を右クリックして[Small signal AC analysis(AC)]の項目に信号の大きさ[AC Amplitude]を設定します。ここでは波高値として2.5Vを入力します。

以上でシミュレーションを実行します。

シミュレーションの結果から遮断周波数fc=50.5Hz の低域通過フィルタであることがわかります。初期の設定値では50Hzでした。

3        トランジスタを使った低域通過チェビシェフフィルタの設計

次に、OPAMPと同じフィルタ特性をトランジスタで実現させるよう設計します。

トランジスタの入力はOPAMPと違って1つしかないですが、もともとの回路の-側が、出力と短絡され、増幅率が1となっていますので、エミッタフォロア回路を使うとなんとかなりそうです。

下記にOPAMPをNPNトランジスタに置き換えた回路図を示します。正弦波の信号源V3に直列に直流2.5V電源を挿入し、電圧オフセットを付けました。エミッタに接続された抵抗R4はOPAMPの出力インピーダンスに近づけるためにはできるだけ、小さくした方が良いのですが、この抵抗を小さくすると出力される信号が小さくなってしまいます。また回路上であまり無駄な電流は流したくありません。許容できる値として4.7kΩの抵抗を設置しました。

OPAMPと同様に、LTspiceを用いて周波数特性を解析しました。

遮断周波数 fc= 36.8Hzにずれていますが、フィルタ特性そのものは、近似特性となっています。ちなみにエミッタ抵抗R4の値を47kにすると遮断周波数は43Hzに移動し、OPAMPで作ったフィルタの値に近づきますが、出力インピーダンスが高くなるため、出力の接続先の回路のインピーダンスに影響を受けます。

4        トランジスタフィルタの適用先

マイコンから30Hzのパルス波が出力されるので、その波形を今回のフィルタを通して正弦波にします。

まず、マイコンの出力波形V3を

周波数 30Hz、 ディーティ 50% 電圧は 5Vと0V繰り返しの方形波とします。

LTspiceの回路図は以下となります。

この時V3を右クリックして[ADVANCE]をクリックすると下記の画面が出てきますので、そこで繰り返しパルスの設定を行います。

設定するパラメータの意味は以下となります。

パラメータ 概要 設定値
Vinitial[V] 開始時の電圧 0V
Von[V] パルスがHIGHの時の電圧 5V
Tdelay[s] ディレイ・タイム 0
Trise[s] 立ち上がり時間 0.001ms
Tfail[s] 立ち下がり時間 0.001ms
Ton[s] オンタイム(HIGHの時間) 0.01667s
Tperiod[s] 周期 30Hzなので0.0333s
Ncycles 繰り返し数 10回

下記にシミュレーション波形結果を示します。

マイコンからでるパルス波形(赤 Vmicon)が、しっかり正弦波として出力(みどり Vout)されているのがわかります。

5        まとめ

増幅さえしなければ、OPAMPを使わなくても、トランジスタでそこそこのローバスフィルタは設計できます。回路のコストを下げる意味でもこんな場合は積極的にトランジスタを使いましょう。

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