大阪・関西万博の「フューチャーライフヴィレッジ」は、「未来の暮らし、未来への行動」をテーマに、人が主役となって共創と対話を体験する展示施設です。
中庭を囲むように円形の展示棟が点在し、自然と調和した回遊型空間で未来社会の姿を探ります。
フューチャーライフヴィレッジが「石(蛇籠壁・じゃかごかべ)」を用いて建築された理由は、以下のような環境的・象徴的な意図によるものです。
- 環境との共生:夢洲の自然環境を継承し、風・光・水の循環を促す中庭空間を中心に、自然と調和した建築を目指しています。蛇籠壁は通気性と透過性があり、自然の要素を取り入れやすい構造です。
- 再利用性と持続可能性:蛇籠は解体・再利用が可能で、万博終了後の資源循環を見据えた設計となっています。これはSDGsの理念にも合致しています。
- 非中心・離散の象徴:大小の円形展示棟が森のように点在し、石の構造がそれらを緩やかにつなぐことで、「多様でありながら、ひとつ」というテーマを体現しています。
このように、石材は単なる建材ではなく、未来の暮らしにおける「自然との共生」や「循環型社会」の象徴として選ばれているのです。
壁に隙間ができることから、冷暖房の効きが悪くなるのではと思いましたが、冷房は結構効いていて快適でした。
単純に、石を籠の中に入れているだけではなさそうです。
近くにあった像です。
ARTIST REMA
TITLE The Woman with Terrestrial Malady "LEM"
この作品は LF Gallery SG を通じたタイのプーケットのVILLA LEM へ常設する 7mの大型彫刻のプロジェクトの一部になります。
人魚は謎めいた存在として、 古今東西、 多くの人々の想像力をかき立ててきました。
その描かれ方は時代や文化によってさまざまで、神秘的であると同時に、不気味さを感じさせることもあります。
現代では、 人魚はしばしば女性的で美しく、 誘惑の象徴として描かれることが多い一方で、 過去には怪物や神話的なモチーフとしての側面が強く見られました。
この多様なイメージは、それぞれの時代に生きる人々の欲望や幻想を反映しています。
では、今日における人魚の象徴とは、 どのようなものでしょうか?
安部公房の『第四間氷期』では、海面上昇に対抗するため、人類が遺伝子改造を施し、 「水棲人間」 として生き延びる未来が描かれています。
それは、人類が人魚へと進化する可能性を示唆し、 人魚が単なる幻想ではなく、 未来の人類像を象徴する存在である可能性を示しています。
この作品において、 人魚は神秘、 誘惑、不気味さ、さらには終末論的なモチーフとして表現されています。
頭部は作家自身の外見を模していますが、顔を持たず、 抽象的な形を取っています。
この顔のないデザインは、個人のアイデンティティが還元され、 社会の中のラベルで定義される過程を象徴しています。
この抽象化のプロセスは、 人間が抱える複雑な問題からの逃避の手段であると同時に、現代社会において調和とバランスを保つ数少ない方法のひとつとして機能しています。
人魚というモチーフを通して、この作品は、 現代のアイデンティティ、進化、そして社会的幻想が交錯する新たな神話を紡ぎ出します。
顔を失った彫刻" LEM" は、匿名性や社会が生み出す固定化されたイメージを映し出しながら、 その枠組みが常に変容していくことを示唆しています。
人魚が時代とともにその姿を変えてきたように、 私たちのアイデンティティもまた、絶えず書き換えられていくのです。
FES 株式会社 Drill Inc. は本作品の制作・展示を行うにあたり協力をしております。