今日の赤ちゃんのご機嫌はいかがですか?
赤ちゃんの生活は、寝て、遊んで、ミルクを飲んで、オムツを替えて、お散歩に行って、お風呂に入って・・・結構 忙しい。
お母さんたちは 赤ちゃんが元気に健やかに育ってくれるよう 日夜 赤ちゃんの一番身近にいて頑張っています。
子育てひろばなどで お母さんたちとお話していると、ミルクの飲みや体重、運動発達などの相談も多いのですが、「赤ちゃんの便秘」についてもよく聞かれます。
今回は赤ちゃんから5歳くらいまでのお腹の成長発達をふまえながら、スムーズにうんちが出るように 便秘対策や改善の糸口を紹介します。
注意
うんちの回数や便意のリズムは、ひとりひとり個人差があり 赤ちゃんも幼児も決まったものはありません。1日に5回~7回もうんちをする赤ちゃんもいれば、2、3日おきの子もいます。
日ごろから お子さんの排便時の様子やうんちの観察、おなかの張り具合やご機嫌などを気にかけてみてあげましょう。
目次
1 こどもの成長とともに変わるうんち
1-1 おおよその月齢・年齢別 うんちの回数と状態
うんちは、食べた物が体に入り、栄養として吸収されなかった物の残りカスです。食べた物によって状態は変わります。
小さな赤ちゃんの頃は母乳とミルクがほとんどなので、水っぽいうんちですが、離乳食が始まると食べ物の固さが変化するに合わせうんちも固くなっていきます。
おっぱいが終わったころには 大人のような形のあるうんちが出ます。
月齢・年齢 | うんちの状態 | 1日のうんちの回数 | |
新生児期 | 0~1ヶ月 | 水っぽい |
2回~10回 |
乳幼児期 |
1~3ヶ月 | 軟便・ドロドロ | |
3~6か月 | |||
6~12ヶ月 | 少し形ができてくる | 1,2回~5,6回 | |
幼児期 | 1~2歳 | 形がある
固い |
1回~3回 |
2~5歳 | 1回~2回 |
*月齢などの区切りは目安です。実際は個人差があります。
1-2 うんちをためる発達、出す力(いきみ)
うんちは大腸にたまり、次の食べ物が胃に入ってくると直腸に送られます。ここで「うんちがたまったよ」と脳に伝わり、今度は「うんちをしよう」と脳から直腸に指令が行きます。
そして 肛門の筋肉がゆるみ、反射的に腹圧がかかってうんちが出ます。
・新生児期~6か月ころ
生まれたての赤ちゃんは腸の反射的な動きで、おなかに少したまるとすぐに出てきます。おっぱいやミルクは消化の時間も短いので、うんちの回数が多くなります。
3ヶ月頃になると 首もすわりはじめ 徐々にお腹の筋肉に力をいれる動きをします。胃や腸も発達し消化吸収する力がついてきます。
この頃から 少しずつうんちをする時に「いきむ」姿がみられるようになります。
・離乳食の始まり~1歳ころ
離乳食が始まると、消化にかかる時間が長くなり、うんちの水分量が減ってきます。その日の離乳食の食べる量やメニュー、ミルクの飲む量によって、うんちの回数や状態も変化します。
赤ちゃんが真っ赤になっていきんでいる様子から お母さんもうんちのタイミングが分かるようになります。
・1歳過ぎ~3歳ころ
食事や生活のリズムが出来始め、うんちの回数や時間帯も少しずつ決まってきます。
自分でも「うんちがしたい」と感じて、カーテンに隠れたり、部屋の隅に行って お決まりのスタイルでいきんだりします。
ただ まだまだ無意識にこの動作をしているので、お母さんがトイレに連れて行っても「トイレでうんちをする」ことが出来ず、間に合わなかったり、声掛けにおどろいて便意そのものが無くなったりします。
・3歳~5歳ころ
3・4歳になると 「うんちがしたい→トイレまで我慢する」脳と筋肉の発達が出来てきます。
大人の方は(これ片付けてから)と思っている間に便意を忘れた経験があると思います。そう 便意は消えやすいのです。
失敗してママに怒られたり、保育園・幼稚園でうんちすることが恥ずかしかったりして、お子さんの感じる心の負担が うんちのリズムを乱れやすくします。
2 赤ちゃんの便秘
2-1 赤ちゃんの便秘の時のようす・症状
うんちをためる直腸はとても伸びやすく、うんちを大量にためることが出来ます。意識的にうんちを出すことが出来ない赤ちゃんは、ちょっとしたきっかけで便秘になってしまうと直腸が伸びて、「うんちがたまったよ」のサインを脳に届けるのが鈍くなり、どんどん便秘になってしまいます。お腹にうんちをためないように 日頃からお子さんのうんちリズムを知っておきましょう。
便秘かな? チェックリスト
- いつもより うんちの回数が少ない。出てはいるが量が少なく、コロコロしている。
- 赤ちゃんの機嫌が悪い。
- お腹が張っている。
- ミルクやおっぱいの飲みが悪い。(食欲がない)
- 嘔吐する。
- うんちのときに 苦しそう。泣きながらいきんでいる。
- うんちに血がついている。肛門をふくと血が付く。
このような様子があるときは、便秘である可能性が高いです。
家で便秘対策をしても改善されない場合は、他の原因もありますので、かかりつけの小児科に相談しましょう。
2-2 便秘を改善するには(ホームケア)
【水分をとる】
・赤ちゃんの便秘は、水分不足が原因の事が多いです。とくに母乳だけの場合 飲んでいる量が分からないので、水分が足りなくなることもあります。(便秘気味かな)と思ったら 母乳を飲む前と飲んだ後の体重を測ってみましょう。
・離乳食が始まると おっぱいが減った分の水分が足りなくて、うんちが硬くなることがあります。白湯や麦茶を食事の時に飲ませたり、スープなどをメニューに加えるのもいいです。
また 糖分はお腹の働きをよくするので、少量のオリゴ糖を白湯に混ぜて水分補給をする方法もあります。(量には注意しましょう)
【消化の良い・繊維が多い食事メニュー】
離乳食のメニューに、サツマイモなどの芋類や大根などの根菜、青菜やキャベツなどの葉もの、海藻、おからや煮豆など繊維の多い食材を取り入れましょう。
また バナナやリンゴなどはつぶしたり、すりおろしておやつにするのも良いですね。
【マッサージや運動】
大腸のまわりの筋肉を優しく刺激しましょう。
①お母さんの手のひらをお腹に当てて おへそを中心に「の」の字を書くように優しくマッサージします。手の温かさが伝わるようなやわらかいタッチ加減ですよ。
②赤ちゃんの両足首を優しく持って、歌に合わせて曲げ伸ばしをしたり、平泳ぎのように開いたりしましょう。
注意
赤ちゃんの関節はまだまだ 浅く柔らかく 強くありません。赤ちゃんにその気がないのに無理に伸ばすと、関節を痛めてしまいます。赤ちゃんとアイコンタクトをとりながら 手足は無理に引っ張らず、赤ちゃんの動きや姿勢に合わせて遊んであげてください。
【綿棒・こよりで肛門への刺激】
綿棒の頭の部分にベビーオイルをつけて、まずは肛門の周囲を優しくつついて刺激します。これだけでも出る赤ちゃんもいます。
うんちが出ないときは、肛門から1~2cmくらい綿棒の丸い部分をゆっくり入れたり出したりします。1歳近い子は1~2cm綿棒の先を入れてゆっくりと回しても大丈夫です。
これは結構効果があるので、刺激している間にうんちが出ることがありますので、オムツの準備はしておきましょう。
ガスがたまっていて、刺激でおならが出ることもあります。
注意
ホームケアをしても 改善が見られないとき、あきらかに苦しそうだったり、吐いたり、ご機嫌が悪くて泣いている時は 病院へ行きましょう。
3 幼児の便秘対策
5歳ころになると90%くらいのお子さんが、うんちの自立ができています。
うんちは大きくなるにつれ我慢が出来ますが、保育園・幼稚園など集団生活をしていくうえで、「決まった時間に ちゃんとうんちが出る生活リズム」を作ることが大切です。
入園してから 急に園で便意をもよおしても 恥ずかしくてなんとなく我慢している間に
『便がたまる→便意を感じにくい→うんちが硬くなる→うんちをするとお尻が痛い→便意を我慢→・・・』と悪循環になる子もいます。
大きくなってトイレの自立ができたからと なかなか子どもに聞くことは少ないと思いますが、引き続き気にかけてあげましょう。
3-1 うんちをする生活リズムを作る
うんちの習慣は大人になってからも大切ですよね。なるべく同じ時間にうんちをする習慣がつくと、集団生活をする時にとても助かります。
2歳以上になったら トイレットトレーニングに合わせて、便意が起きやすい朝食や夕食後に便座に座らせてみましょう。(朝の方がお腹が動きやすいようです。)
食事することで 反射で腸の動きが活発になり便意を感じやすいようです。しつこくしてトイレを嫌がらない程度に誘い掛けるのが大切です。
3-2 外出先でもうんちが出来るように 子どものうんちリズムに合わせて誘い掛けよう
家では安心してうんちができても、外出先でうんちをするのはなかなかハードルが高いです。
デパートやお出かけ先でトイレに誘って、色々なトイレに慣れさせてあげましょう。
子どもは案外 音や匂い、汚れに敏感で 外出先のトイレを嫌がることがあります。親と一緒の時にいろんなトイレ経験をしておくといいですね。
3-3 水分を多くとって、食事も改善
腸の動きが悪くて、慢性的に便秘な子は まずは小児科に相談して、便をためない対策をして(薬や浣腸など)うんちがたまって伸び切った腸を回復させてから食事療法をすると効果がでます。
「食事をしたら すっきりとうんちを出す」ことが大切です。そして 水分を多くとって、消化が良く、繊維質を多く含む食材を取り入れましょう。
3-4 運動をしよう
大きくなってから便秘で悩む子には 運動が苦手な子が多いです。
「便意を感じたらうんちを出す」には お腹の筋肉が必要になります。運動が苦手な子には 大人が楽しく誘い掛けてあげましょう。
お母さんと一緒に寝ながら 足を曲げたり伸ばしたり屈伸する運動も〇 腰をひねる運動も効果がありますよ。
いつの年齢でも 「うんちはためずに、スッキリ出す」ことが 健康に生活する上でのポイントですね。
うんちについてもっとお知りになりたい方は
いいうんち研究所 https://www.toilet.or.jp/iiunchi-labo/index.html のサイトをみてください。
うんちが出ないことで、腸内細菌がどう変化するのかなど 詳しく書かれています。
私は「うんち博士」こと 辨野善巳(べんのよしみ)先生の講義を何度か受けました。
先生は腸内細菌の研究が専門で、免疫力についても詳しく 子どもからお年寄りまで大切な話が楽しく紹介されています。
まとめ
赤ちゃんの体調を考える時 気になるうんち。うんちの量や状態は 赤ちゃんの体の健康状態を知る手がかりになります。
「気持ちよくうんちが出る」体つくりは、赤ちゃんが大きく育ってからも健康な生活を送るための基礎となります。
ぜひ 健康的なうんちがスムーズに出るように 小さいうちからサポートしてあげましょう。
ちょっと大きくなってから 「ママ~ 元気なうんちが出た~」って言ってくれる日が楽しみですね。
ぬっぺ/Nuppe