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リチウムイオン電池の特性をニッケル水素電池等 他の二次電池と比較

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リチウムイオン電池は、日本人の吉野彰博士が発明者の一人として、2019年10月、ノーベル化学賞を受賞した高容量で小型軽量な二次電池です。

今やモバイル端末や電気自動車には無くてはならない電池となりました。

この電池についてまとめてみました。

1        二次電池の性能

リチウムイオン電池の優位性を、他の2次電池のスペックと並べて比較してみましょう。

表 1 各種2次電池の物性値比較

2次電池の種類 公称電圧(V) 出力密度(W/kg) 比容量(Ah/kg)
リチウムイオン電池 3.7 250-400 30-70
リチウムイオンポリマー電池 3.7 130-170 35-80
鉛蓄電池 2.1 180-200 15-20
ニッケル・カドミウム電池 1.2 150-200 35-50
ニッケル水素電池 1.2 250-1000 50-100

1.1         公称電圧

電池は陽極と陰極に異なる素材を用いますが、公称電圧は、その陽極と陰極の素材間の酸化還元作用によって決まる物性値です。

それぞれの極に使用している金属が同じであればどのサイズ、どのメーカーのものでも必然的に電圧は同じになります。

例えば、1次電池のマンガン電池の電圧は、単1から単5まで押しなべて1.5Vですが、この電池の場合、陽極にマンガン(酸化還元電位-2.356V)、陰極に亜鉛(酸化還元電位-0.763V)を使用し、その電位差は1.593Vです。

マンガン電池(アルカリ電池も正式名称はアルカリマンガン電池で立派なマンガン電池です)である限り電池の出力は必ず1.5Vとなります。

9Vの角形マンガン電池はありますが、この電池は1.5Vの電池を内部で6個重ねて製造しています。

酸化還元電位が低いほどイオン化傾向が高くなります。

極に使用する素材のイオン化傾向差が高いと電池にしたときの電圧が高くなります。

リチウムが人気の理由はイオン化傾向差が高いからです。

イオン化傾向は

「リッチに貸そうかな まああてにすんな ひどすぎる借金」で覚えましたね。

Li > K > Ca > Na > Mg > Al > Zn > Fe > Ni > Sn > Pb > (H2) > Cu > Hg > Ag > Pt > Au

1.2         出力密度

単位質量当たりで瞬時的に出せる電力を表します。電圧は電池の種類によって決まっていますので、どれだけ電流を流すことができるのかが高密度の決め手です。

電流を流せる=内部抵抗が低い

ということになります。

電気自動車等のモーター搭載機器は、始動電流が高くなる傾向にありますので、この出力密度が高いと始動トルクを確保することが容易になります。

1.3         比容量

単位質量当たりで、どれだけの電気量が蓄積できるかの値です。この値が大きいと、電池を小型にすることができます。

尚、取り出せる電気量は、放電電流の大きさによってかなり違ってきます。

鉛蓄電池の値が低いですが、これは同じ電気量を取ろうとすると、他の電池よりも重いものを搭載しなくてはならず電気自動車等には不都合でした。

1.4         ニッケル水素電池とリチウムイオン電池

表 1の結果を見ると、ニッケル水素電池の性能はリチウムイオン電池を上回っているように見えますが、ニッケル水素電池には弱点があります。

充電後に放置しておくと自然と放電をしてしまい、容量が減っていってしまう『自己放電』とよばれる現象のために、長期間放置したものは、使う直前に充電が必要な事です。

リチウムイオン電池も同様に自己放電を起こしていますが、その量が少ないため、使い勝手に影響を及ぼすほどではないです。

また、ニッケル水素電池にはメモリー効果がありますので継ぎ足し充電を行うと電池の容量が減ってしまうといるデメリットもあります。

ニッケル水素電池のメリットとしては、原価コストが安いことです。

パナソニックの「エネループ」や「充電式エボルタ」などは、マンガン系の電池の電圧に近い出力が必要なこともありますが、ニッケル水素電池です。

2        リチウムイオン電池の種類

陽極材の〇〇リチウムによっていくつかの種類がありますが、代表的な4つを表 2に記載しました。

表 2 リチウムイオン電池の種類

電池名 陽極材 陰極材 公称電圧(V) 出力密度(W/kg)
コバルト酸リチウムイオン電池 コバルト酸リチウム 黒鉛 3.7 150-240
マンガン酸リチウムイオン電池 マンガン酸リチウム 黒鉛 3.7 100-150
リン酸鉄リチウムイオン電池 リン酸鉄リチウム 黒鉛 3.2 90-120
ニッケル系リチウムイオン電池 ニッケル系 黒鉛 3.6 200-260

2.1         コバルト酸リチウムイオン電池

リチウムイオン電池の代表です。コバルトがレアメタルで高価な材料のため、安価な材料への転換が求められていますが、なかなか見つからないため現在でも主流です。

熱暴走の危険もあり、安全性の面から、車載用には使われていません。

2.2         マンガン酸リチウムイオン電池

車両電池の主流です。コバルトの1/10というマンガンの安さに加え、結晶構造が強固で熱安定性に優れており、安全性が高い電池です。

ただし、コバルト酸リチウムイオン電池に比べると実容量が低く「なります。

2.3         リン酸鉄リチウムイオン電池

電池内部で発熱があっても結晶構造が崩壊しにくく、安全性が高い電池です。

電動工具や電動自転車、蓄電システムに使用されています。

2.3         ニッケル系リチウムイオン電池

出力密度が高いのが最大の特徴です。

充電時に発熱しやすく安定性に課題があります。

3        リチウムイオンポリマー電池

リチウム電池の電解質を液体ではなくゲル状の高分子(ポリマー)にしたことからこう呼ばれています。

外郭を金属管ではなく、アルミのラミネートフィルムで包んだことにより、軽量で形状の自由度を備えた電池となっています。

この電池はiPhone等のモバイル機器に使われています。

4        製品に使われているリチウムイオン電池の種類を知る

リチウム電池にはリサイクルマーク(スリーアローマークと言います)があります。

そのマークの近隣に"Li-ion00"の表示がありますが、末尾の数字でリチウム電池の系統が分かるようになっています。

最初の番号:正極活物質中の最大含有金属
0:コバルト
1:マンガン
2:ニッケル
3:鉄
2番目の番号:主金属のリサイクルを阻害する金属
0:無し
1:単電池重量に対して単電池含有分のスズ(Sn)が、1.0wt%を超えて含有
2:単電池重量に対して単電池含有分のリン(P)が、0.5wt%を超えて含有

電池のリサイクルエ程において、現行の技術では、スズ(Sn)とリン(P)を有用な主金属から分離する事は非常に困難となっています。
ある閾値以上のスズ、リンを含有するリチウムイオン電池を特定するため、2番目の番号が付加されています。

4        まとめ

比較してみるとリチウムイオン電池の優位性が目立ち、世の中で広く使われている理由が分かります。

しかしながら、電気自動車が急速に普及の方向に進んでいる中、次世代の2次電池の開発が待たれます。

ポストリチウムイオン電池には、

全固体電池、リチウム硫黄電池、金属空気電池、ナトリウムイオン電池、多価イオン電池があり、どれが覇権を握るか分かりません。

しかしながら、この分野は巨大なお金の動く分野のため急速な研究開発が進められています。

たった5年程度の間に、新規電池が瞬く間に広がっている可能性は大いにあると思います。

現在米国のQuantumScapeやAPBが先行して電気自動車用の固体リチウム金属電池の開発に邁進しています。

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