目黒寄生虫館は医学博士・亀谷了(かめがい さとる)氏が私財を投入して創設した寄生虫専門の私立博物館です。
場所はJR目黒駅から坂を西へ下り、目黒川を越え、更に大鳥神社を越えた徒歩で約12分のところにあります。
寄生虫の貴重な資料や標本が展示されていますが、なんと入場無料です。
もうこれは行くしかないです。
目次
1 寄生虫の多様性
寄生虫はもともと寄生虫ではありませんでした。
生き残るために、自由生活を捨て寄生生活へ転向していきました。
寄生虫は宿主の生活様式に合わせて生活しています。
宿主に取りつくための特徴的な形状をしています。
2 代表的な人の寄生虫(1階展示)
代表的な寄生虫と寄生部位が示されています。
3 魚の寄生虫
アニサキスは、オキアミやオキアミを食した中間宿主である魚介類の体内で第3期幼虫として過ごします。その中間宿主がクジラ類に捕食されると、クジラの体内で成虫に成長し、卵を産みます。その卵がクジラの糞便とともに海中に排出され第3期幼虫となり、オキアミに捕食されます。
アニサキスの中間宿主である魚介類を生で食べ、人の体内に入ると、軽い腹痛を伴うケースから、激痛、腸閉塞に至るケースなど、さまざまな症状が出ます。
アニサキスによる痛みは、アニサキスが胃に噛みつくせいではなく、アレルギー反応なので、全くの無症状で済むこともあります。
アニサキスはヒトの体内に入ると約1週間で死んでしまいます。
4 様々な寄生虫
寄生虫館の見どころです。
5 人の寄生虫(2階展示)
一般的にサナダムシと呼ばれますが、通常は無症状です。しかし、写真の有鉤囊虫症(ゆうこうのうちゅうしょう)はひどいですね。
人糞で育てた野菜を食べることで虫の卵が体内に入りますが、今は化学肥料で育てているため激減しました。
学校の蟯虫検査のぺったんこシールは2015年まで続けられましたが発生率が1%以下となったため中止されました。
6 寄生虫の模型
7 人獣共通寄生虫-吸虫
今村翔吾の「幸村を討て」では甲斐の風土病で腹が膨れて死んでしまう "はらっぱり" と呼ばれた日本住血吸虫症を巧妙に使って、甲斐出身の”忍び” を炙り出すシーンがあります。
この病気は大変な病気で、明治時代になって近代医学の発展とともに日本住血吸虫症の原因が寄生虫であるということの究明から撲滅迄、行政と地域の人たちで大変な努力をしたことが伺えます。
経緯を調べれば調べるほど寄生虫の恐ろしさが身に沁みます。
8 動物の寄生虫
9 人獣共通寄生虫-線虫
これは立派なサナダムシ。8.8mもあります。
3ヶ月前に食べたマスの刺身にサナダムシの幼虫が寄生していたようで、3ヶ月の間にこんなに立派に成長しました。
ほぼ完全な形で虫体を回収していますが、腫物に触るようにお尻から出すのは大変だったと思いますよ。
10 寄生原虫
11 寄生虫学の歴史
寄生虫研究の「山口左仲」の功績を含む年表です。
12 まとめ
恐怖心を感じることなく寄生虫について考え、その世界についてじっくり学ぶことのできる寄生虫館はいかがだったでしょうか。
もともと、この博物館を訪れたきっかけは、
に珍しい博物館で紹介されていたからです。
アメリカ人の著者スティーブン・ピンカーも知っている世界に一つしかない(たぶん)博物館です。
機会があれば絶対訪れることをお勧めします。
寄生虫の事を可愛く思えるかもしれません。