博覧強記

暴力の人類史(下)スティーブン・ピンカーの あらすじ

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前回、上巻の内容を報告しましたが、今回は下巻を読み切りましたので、備忘録も兼ねてここで報告しようと思います。


暴力の人類史 下

前回の報告はこちら

暴力の人類史(上)スティーブン・ピンカーの あらすじ

目次は、前回の報告からの連番としています。

 

8        権利革命

ユダヤ教、キリスト教やイスラム教は、人間の最もたちの悪い本能のいくつかを法律や信仰で承認し、それによって暴力を何千年にも渡って助長してきました。

異教徒は人間扱いされず、女性は男性の財産とされ、子どもは原罪を背負わされ、同性愛者は険悪の対象となり、動物は魂が無いものとして人間に支配されました。

アジアの文化にも恥ずべきところは沢山あり、とりわけ娘はいらないとされる全般的な習慣が、生まれたばかりの女児に対するホロコーストを助長しました。

同性愛者は、猥褻だの男色だの獣姦だの異常行為だの自然に対する犯罪だのといったものを取り締まる法律と言う形で政府の暴力を逃れても、今度は仲間の市民から、ゲイバッシング、と言った形で最近まで暴力にさらされました。

過去50年の非暴力に向かう権利革命の最も重要な外生的要因は、電子革命と交通革命です。

テレビ、トランジスタラジオ、ケーブル、衛星、長距離電話、コピー機、ファックス機、インターネット、携帯電話、テキストメッセージ、ウェブ動画が現れ、高速道路が建設され、ジェット機が普及したことによります。

また、高等教育が前例のないほど成長し、科学研究が伸びていった時代でもありました。

情報と人の拡散が、どうして暴力を減少させたのかというと、

別の人種や民族のメンバーは生まれつき強欲で不実であるとか、

経済的な不運や軍事的な不運は少数民族の裏切りのせいであるとか、

女性はレイプされても平気だとか、

子どもを社会化するには叩かなくてはならないとか、

人は道徳的に堕落した生き方の一端として同性愛者になることを選ぶとか、

動物は痛みを感じる能力がないだとか、

そういったもろもろの今まで信じさせられていた思い込みが、実は無知と迷信で出来たものだと教育を受けた、互いに交流のある大衆に気づかせたことによります。

 

9        内なる悪魔

人は本来 暴力を振るうようにできています。

暴力は飢えや渇きのように時間とともに高まるのではなく、好都合な状況があらわれたとき、例えば、集団でいる時に、集団のボスが、弱い相手に暴力を奮ったり、同類集団の中に異質の人種が紛れ込んだときに発動します。

たまたま政治的な指導者が暴力をふるい易い性格特性を持っていると、その性格はより一層重大な結果をまねきます。

彼らのコンプレックスは何億という人間に影響を及ぼす可能性があり、身の回りの少数の人間が、巻き込まれるだけではすまなくなります。

古来、臣民の悲惨な状況のうえに鎮座して権勢をふるったり、破壊的な征服戦争を仕掛けたりする無情な暴君によって、想像もつかないほど多くの被害がもたらせてきました。

そもそも、人がどう行動するかの手がかりは、他の人の行動から得ます。

また、一旦、社会に定着した信念は容易に覆すことができません。

それは、集団の中で、その信念を公然と認めない異端者に対しては、周りが、相応の罰をあたえるからです。

処罰する人は、その信念に対して自分の偽りの無さを証明するためだといいます。

自分は便宜上その信念を良しとしている訳でなく、心から信じているということを、他の強制者に対して示すことを目的としています。

そうすることで、その人は仲間から罰せられるのを避けられます。

しかし、その仲間たちも真相では、もしそうしなかったら自分が罰せられるという恐怖から異端者を罰しているだけなのかもしれません。

一旦、定着した集団的な信念が安定した平行状態を保つことはたやすいことです。

強制者の集団の中で一人だけ逸脱者になろうとする動機は誰だってもってないからです。

 

10     善なる天使

IQテストにおいて、新しい被験者が古いテストを受験すると、ほとんどの場合、平均スコアは100(平均)を大幅に上回ります。

これをフリン効果とよびます。

知識、語彙、計算については上昇せず、抽象的な推論を引き出す項目が伸びています。

これは持っている知識を使って、新たな課題を解決する能力で、情報や、高等教育が関与していると考えられます。

人は賢くなればなるほど暴力に係らなくなります。

それは、その暴力によって引き起こされるリベンジとの得失を考える推論能力が高くなるからです。

教育は、暴力を無くし、紛争を平和的に解決するための手段になります。

11     天使の翼に乗って

ブレイディ みかこの「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」では、イギリスではempathy(人の立場を想像して感情や経験を分かち合う能力)の教育があると書いてありますが、empathyを高めることによって、人の痛みが分かり暴力が無くなります。

国通しで、文化の交流を行ったり、交易を続けたりすることもまた、共感力を高め、地域紛争を無くすことができます。

私たちは、先人が築いた、この平和な世界を維持し、更に現在でも世界のどこかで起こっている地域紛争を減少させるべく、それを可能にした、近代化社会を集団で守っていかなくてはなりません。

 

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