電子回路

電子部品の使い方 -コンデンサ-

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コンデンサも電子回路を設計する上では、地味ですが大事な素子です。携帯端末の基板には見えるか見えないかわからないほどの小さなコンデンサが数百個も実装されています。

 

1.       チップセラミックコンデンサ(MLCC)

コンデンサの代表格です。最近MLCC(multi-layer ceramic capacitor)と横文字で呼ぶ人も増えてきました。角形チップと同じように形状が下記の表のように規格化されています。角形チップ抵抗の説明でも話しましたが、小型化が進み現在は0603、1005タイプが主流となっています。

冒頭にも記載しましたが、携帯端末の普及拡大や、EVなど自動車の電子化に伴う需要の拡大に伴い、材料自体の入手が困難な状態が続き、2018年に某大手メーカが1608以上の形状のコンデンサを順次生産中止にするとユーザーにアナウンスし、一時大変な騒ぎになりました。

 

一般名称 長辺の長さ(mm) 短辺の長さ(mm)
0603 0.6 0.3
1005 1 0.5
1608 1.6 0.8
2012 2 1.2
3216 3.2 1.6
3225 3.2 2.5
5025 5 2.5

 

1.1.       使用上の注意点

MLCCを使う上での注意点を記載します。

1.1.1.       パキッと割れる

材料がセラミックなので茶碗や皿を思い浮かべると容易に想像がつくと思いますが、プリント基板に実装された状態で、基板に反りや捻じれが発生し、MLCCに一定以上の応力が加わった場合は素子に亀裂が発生し、静電容量が低下するばかりでなく、この亀裂に水分が侵入し短絡状態となります。この故障は致命的で、長期間使用した場合は、かなりの確率で発生します。MLCCを基板に搭載する場合は、実装から製品に組付けるまでの各工程で不要な外力がかからないように腫物に触るように扱う必要があります。"基板分割"とか"ねじ絞めによる固定"の工程がある場合は要注意です。

 

1.1.2.       直流電圧印加によって容量低下

カタログに記載されている静電容量は、直流電圧が印加されていない状態です。印加された場合は定格電圧と形状にもよりますが、当たり前のように1/2、1/3に容量低下します。

 

2.       フィルムコンデンサ

誘電体にフィルムを使用したコンデンサです。私の関係した回路では、電源ラインの両端に接続する、いわゆるXコン、インバータの直流母線電圧の両端、トライアックやスイッチング電源のノイズ抑制として使用しているものが主でした。自己回路から発生するノイズを吸収したり、外部から来るノイズをここで吸収したりします。特に、商用電源の両端に直接接続するコンデンサは、海外向けの製品では、規格コンデンサとして海外の認証の取れたものを使用しています。MLCCほどではありませんが、このコンデンサも年年歳歳小型化されています。フィルムの厚さを薄くして、全体を小型にしています。

2.1.       メタライズドポリフィルムコンデンサ

フィルムの表面に金属が蒸着されている誘電体を使用しています。昔はフィルム間の短絡で内部発熱し、燃えることがあったので、電極に工夫をこらした保安機構付きのものが発売されています。

 

2.2.       ポリプロピレンコンデンサ

フィルムコンデンサとほぼ同じ用途で使われますが、ポリプロピレンフィルムはフィルム間で短絡が発生しても、その部分がオープンになって、内部で発熱しません。そのかわり、容量が低下しますので、延々と、数kVのパルス電圧がかかるような環境では、どんどん容量が減って来ます。今まで、市場で、容量抜けが発生して不具合がでたという話は聞いたことが、ありませんので、ほぼこのような容量低下は発生してないと考えられます。むしろ火災の方が怖いので、ポリプロピレンを使っています。

 

3.       電解コンデンサ

誘電体に電解液をしみこませた紙を使用しています。中身が液体ですので、長い間使用していると、電解液が気化してリードの隙間を通って外へ出て行ってしまいます。この現象をドライアップ現象と呼びます。ドライアップはコンデンサを充放電するときの電流量に影響されます。

電解コンデンサは許容リップル電流が定格として提示されているので、このリップル電流以下の値で使用している分には、メーカの示した高温使用時の寿命に対して、アレニウスの10℃ 2乗則と呼ばれる下記寿命式が成立します。

L:寿命時間  L0:カタログに表示されたコンデンサの寿命時間

T0::コンデンサの寿命時間の試験を行った時の周囲温度

T:実使用温度

リップル電流以上の時は、内部の発熱で、寿命が短くなる可能性がありますので、メーカの示した寿命計算方法で、製品の期待寿命と照らし合わせて、持つか持たないか検討する必要があります。

3.1.       使用上の注意事項

3.1.3.       極性

電解コンデンサは一部のものを除いて、プラス、マイナスの極性があります。逆につけると、マイナス極からプラス極へ大電流が流れ、内部で気体が発生し爆発に至ります。こんな時のためにコンデンサの上のアルミ地金がむき出しになっている部分には筋がつけてあります。内圧が上がると、その筋に亀裂が入り、そこから中の気体が外へ逃げられるように設計されています。これを防爆弁と呼んでいます。

昔、手作り試作基板で逆に接続した時があり、パーン! と言う音とともに、目の前でひらひらと紙が舞っていたことがありました。その瞬間は理由が全く分からなかったのですが、1つのコンデンサの上の部分が完全に開いているのを見て、逆接続していたことに気が付きました。

けっこう大きな音だったので、びっくりした覚えがあります。

 

3.1.4.       パターン配線

電解液が漏れる可能性があるので、素子本体の下、つまり、コンデンサとプリント基板の接面、には極力配線を引かないようにする必要があります。今はもう無くなりましたが、小型化のために、高誘電率の電解液を使ったとこころ、漏れた液体がリード間をショートさせて大問題になったことがありました。

また、外郭を構成する金属のスリーブはあるインピーダンスでマイナス極と接続されています。実装時に基板面に接触する可能性のある底部スリーブはたとえ、ビニールのチューブで保護されているといってもマイナス以外のパターンと接触しないように配慮する必要があります。

メーカのカタログの注意事項にもありますが、ビニールのチューブはフロー半田の半田層を通過するときに熱で変形して下地のアルミがむき出しになってしまうことがあります。私も実際に経験しました。メーカに文句を言おうと思ったんですが、さすがです、納入仕様書の注意事項をよく読むと、そのようなことが起きる可能性のあることが書かれていました。

3.1.5.       上方に空間を確保

内部の気体が上部の防爆弁から噴出することがありますので、必ず、上部にはメーカ推奨の間隙を確保する必要があります。

4.    導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ

電解質に電子伝導度が高い導電性高分子を用いています。そのためアルミ電解コンデンサの弱点のドライアップがありません。

そして、等価直列抵抗(ESR)が通常のアルミ電解コンデンサより低いため、スイッチング回路のノイズ除去能力や周波数特性に優れた特性をもっています。形状も小型でモバイル機器などによく搭載されています。

4.1.       使用上の注意事項

私は、今まで使ったことがありません。というのも、電源投入時の突入電流に制限があって突入防止対策をしなくてはならないからです。以下はP社のカタログに記載されている注意事項です。

急激な充放電により過大なラッシュ電流が流れると、ショートや漏れ電流の増加につながる場合があります。

高信頼性維持のため、ラッシュ電流が下記の場合には保護回路を推奨します。

(1)許容リプル電流の10倍が10A未満の製品に、10A以上のラッシュ電流が流れる場合。

(2)許容リプル電流の10倍が10A以上の製品に、その値を超えるラッシュ電流が流れる場合。

10Aなんてと思うかもしれませんが、等価直列抵抗(ESR)が50mΩの場合でも5Vがかかれば 5/0.05=100A も流れてしまいます。

抵抗を付けると通常時発熱するし、コイルで対策するにしても適当なコイルが見つからず、結局、今まで使わずじまいでした。

小型でコンデンサを入れるスペースが無いくらい密集している基板には有効だと思いますが、スペースに余裕のある基板ではあまり使う必要がないのではと思っています。

他にも

電子部品の使い方 --抵抗器--」、「電子部品の使い方 -コイル、トランス-」がありますのでご覧ください。

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